小学生でもわかるコラッツ予想!?
コラッツ予想の計算ルールは次の2つ。
最初に1以上の自然数(正の整数)を好きに選びます。上のルールに従って計算をしてみましょう。
最初が1の場合
1は奇数だから3倍して1を足すと4
4は偶数だから2で割って2
2は偶数だから2で割って1
最初が3の場合
3は奇数だから3倍して1を足すと10
10は偶数だから2で割って5
5は奇数だから3倍して1を足すと16
16は偶数だから2で割って8
8は偶数だから2で割って4
4は偶数だから2で割って2
2は偶数だから2で割って1(その後も1になる)
最初が5の場合
5は奇数だから3倍して1を足すと16
16は偶数だから2で割って8
8は偶数だから2で割って4
4は偶数だから2で割って2
2は偶数だから2で割って1(その後も1になる)
どれも最後は1で終わっています。
1937年にローター・コラッツが予想
自然数(正の整数)に対して、偶数なら2で割り、奇数なら3倍して1を足すという計算を繰り返すと数列がつくられます。1937年に、ドイツの数学者ローター・コラッツ(1910-1990)はこの数列はどのような数列になるだろうかと考え、おそらくどんな正の整数からはじめても1で終わるだろうと予想しました。
以来、コラッツ問題、コラッツ予想と呼ばれるようになりました。80年以上経った現在でも、コラッツ予想は証明されていません。無限にある自然数を相手にしなければならないところが最大のネックです。
コラッツ予想は小学生でもわかる数学の未解決問題です。コンピューターによって21桁の大きな数まで予想が正しいことが確かめられています。予想は正しいように思われます。予想が成り立たないと考える数学者はいなのではないでしょうか。しかし、証明がされていない以上、さらにその先の大きな数において反例が見つかる場合もあります。
懸賞金がかけられているコラッツ予想
小学生でもわかるコラッツ予想の解決には数学者が懸賞金をかけています。数学者コクセターは50ドル、数学者ポール・エルデシュは500ドル、数学者ブライアン・スウェイツは1000ドル。そのポール・エルデシュはコラッツ予想について
と語っています。
そんな中2021年に、株式会社音圧爆上げくんは1億2000万円の懸賞金をかけたことがニュースになりました。
エクセルを使ってコラッツ予想を確かめてみよう
エクセルファイル「コラッツ予想.xlsx」をダウンロード(https://x.gd/YCosr)してコラッツ予想が成り立つことを確かめてみてください。使い方は1番上のマスに自然数+エンターキーとするだけです。その下に計算結果が自動で表示されます。
実験結果をグラフにしてみる
たくさんの数に対して実験をしたらその結果を表やグラフにしてみるといいでしょう。次の表は1から24までの場合についての表です。どれも20ステップ以内で1になります。27の場合、111ステップで1になります。
次は100と1000の場合について、結果をグラフに表したものです。
2019年、テレンス・タオの結果
奇数・偶数、足し算とかけ算だけの簡単なルールにも関わらず、つくりだされる数列はとても難しい。コラッツ予想は世界中の数学者によって考えられているが、本当にすべての正の整数からはじめて1に終わるのかが証明されていません。もしかしたら1に到らない大きな数があるかもしれません。
2019年に数学者テレンス・タオ(1975-)は次を証明しました。
執筆者プロフィール

桜井 進(さくらい すすむ)
1968年山形県東根市生まれ。サイエンスナビゲーターⓇ。株式会社sakurAi Science Factory 代表取締役CEO。東京理科大学大学院非常講師。東京工業大学理学部数学科卒。同大学大学院院社会理工学研究科博士課程中退。小学生からお年寄りまで、誰でも楽しめて体験できる数学エンターテイメントは日本全国で反響を呼び、テレビ・新聞・雑誌など多くのメディアに出演。著書に『雪月花の数学』『感動する!数学』『わくわく数の世界の大冒険』『面白くて眠れなくなる数学』など50冊以上。「桜井進の魔法の算数教室」と「桜井進の数学浪漫紀行」を毎月開催。
サイエンスナビゲーターは株式会社sakurAi Science Factoryの登録商標です。
桜井進WebSite