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鉄道好き集まれ! 「好き」を追求できる芝浦工大附属鉄道研究部

生徒主体をモットーに中高生が一緒に活動する鉄道研究部

芝浦工業大学との連携により理工系人材の育成に取り組む「芝浦工業大学附属中学校・高等学校」。授業はもとより部活動に取り組む生徒の姿勢も熱心で、一人ひとりが自分の「好き」を追求できる恵まれた環境が整っている。

約50年の歴史がある鉄道研究部(通称:鉄研)も人気のある部活動のひとつで、2023年12月現在41名(中学生:19名、高校生:22名)の部員が在籍している。生徒主体の運営方針をモットーに中高生が一緒に活動しているのも特徴で、学年に関係無く大好きな鉄道について語れる仲間が大勢いるのはこの上ない幸せだろう。

3Dプリンターを使わずにあえて手作りにこだわる模型製作

部長を務める黄田さん(高2)は鉄道がきっかけで同校と出会い入学を志望したひとり。今では模型製作と旅行計画を立てる行程づくりにすっかり夢中になっているようだ。

部長の黄田さん

黄田さん:「本校の鉄道研究部の主な活動内容のひとつに模型製作があります。毎年8月に国際鉄道模型コンベンションと全国高等学校鉄道模型コンテストといういわゆる鉄道模型の大会があり、そこに出展するための模型を製作しています。全国高等学校鉄道模型コンテストにはモジュール部門、1畳レイアウト部門、HO車輌部門の3部門があり、昨年度に引き続き2023年度も3部門すべてで入賞しました」

顧問の小川先生によると、3Dプリンターを使ってより精密な模型を製作する学校もあるようだが、手作りにこだわって型紙から作る同校の作品が高く評価されているようだ。「手作りだからこそ味が出ると言いますか、電車に対する気持ちが自然と作品にあらわれて、見る方もそこに何か感じるものがあるんじゃないかと思います」

いろんな鉄の好奇心をかき立てる鉄道ギャラリーやSLの存在

鉄道研究部とひと言で言っても、活動内容や方針は学校によってさまざま。模型製作に特化した学校もあればいわゆる乗り鉄中心の活動もあり、鉄道好きにとっては学校選びのポイントのひとつになるだろう。「本校は作るのも乗るのもあり、なんでもやるよっていうのが特徴かなと思います」と小川先生。

いわゆる乗り鉄や撮り鉄をはじめ、音を録るのが好きな音鉄や、時刻表鉄、きっぷ鉄…など鉄道好きの興味・関心は幅広くまた奥が深い。その多様な好奇心を受け止めてさらに高められるのが同校の魅力であり強みかも知れない。

小川先生:「本校は1922(大正11)年に設立された東京鉄道中学を前身とする学校で、鉄道とは深い縁があります。校舎の1階にある「しばうら鉄道工学ギャラリー」には日本有数のコレクターから寄贈された貴重なコレクションや資料がありますし、創立100周年を記念して展示された403号機関車(SL)のメンテナンスも鉄研で行なっています。もともと西武鉄道で保管されていた車両なんですが、劣化が進んでいたため修繕が必要で、鉄研の部員も塗装などの作業をさせていただきました(車両修繕の動画はこちら)。ここは海に近く車両に塩がついてしまうので、月に1回清掃をしたり、キズがあれば塗装し直したりしています」

模型鉄&乗り鉄メインの女子部員ものびのびと活動

2021年度から女子生徒の受け入れが始まり男女共学の中高一貫教育が進む同校だが、鉄研にも現在2名の女子部員が在籍し、模型製作や日々の活動を通して充実した時間を過ごしている。羽中田さん(中3)の話を伺うと、いわゆる鉄オタが集まる鉄道研究部のイメージとも異なり、鉄道好きという共通点で集まったメンバーがそれぞれ自分の居場所を見つけられる居心地の良さのようなものを感じさせてくれる。

羽中田さん

羽中田さん:「私はそこまで鉄道のことは詳しくないんですけど、ものづくりや鉄道に乗るのはとても好きです。部活を見学したときに模型作りが楽しそうだなと。あと鉄研には4泊5日の合宿もあって入部を決めた理由のひとつです。もう一人の女子部員も模型製作がメインだと思います。来年のコンテストでは今回よりもちょっと良い賞が取れるように頑張れたら良いなと思っています」

小川先生によると、羽中田さんはクラスであまり主張をするようなタイプではないが、授業中に見せた工作の上手さに目を奪われたそうだ。

小川先生:「手際が良くてクオリティも高いんです。他の生徒と比べてもひときわ目につく存在で、パッと見て違うなと思いました。材料を接着するときも学校で準備したのりは使わずに、鉄研で使っている高級な接着剤をポケットから出してしれっと使っていたのが印象的でした」

部活動を通して自然と身につくものづくりの技術やセンス。5分前行動や事前準備の大切さ、あいさつなども学んでいくそうで、鉄道を通して多くのことを学べる貴重な経験だ。

鉄道を通して広がる視野、将来の進路選択にも

続いて将来の目標や進路について話を伺うと、こちらも興味深い答えが返ってきた。

羽中田さん:「鉄道とは関係ないんですけど、ロボットエンジニアになりたいなと思います。災害用ロボットを作りたいです。小6の時に将来の夢について深掘りする授業があって、色々と調べる中で一番興味を持ったのが災害用ロボットです」

部長の黄田さんも模型製作を通して都市開発に興味を持ったとのこと。「好き」を追求できる部活動ならではの発見だろう。

黄田さん:「鉄道研究部の活動を通して新しい視点で物事を見られるようになったと思います。進路については鉄道が好きだから将来は機械系に進みたいという人もいれば、模型製作を通して建築に興味を持つようになった人、鉄道のデザインを学びたいという人もいてみんなさまざまです。私は模型製作を通して都市開発に興味を持つようになりました。あと旅行の行程を作るのも好きなので、旅行会社への就職も考えるようになりました。これから入部を検討している人には将来にもつながる部活だっていうことを伝えたいですね」

生徒みずから考案した旅程を楽しむ4泊5日の夏合宿

夏合宿。左端が顧問の小川先生

模型製作とならんで鉄研の活動のハイライトともいうべき4泊5日の夏合宿。現地集合・現地解散という自由度に加え、4泊5日の旅程をすべて生徒みずから考案しているという点にも注目したい。しかも全員参加型のコンペを2回実施し、得票数のもっとも多い行程を採用するという独自のスタイルを代々受け継いでいるそうだ。

黄田さん:「去年の出雲〜京都を結ぶルートは私の提案が採用されました。2週間かけて行程を作ったんですけど、私は鉄道に加えて観光も重視しているので行き先ごとの観光地をまとめるところから始めました。次にそれぞれの観光地に行くベストな時間を割り出して、最終的に4泊5日の行程を仕上げました」

鉄研の部員にとってはどんな電車に乗れるかも重要で、観光地やグルメ、アクティビティなどを織り交ぜながらなおかつ妥当な予算感で鉄道好きを満足させるのはかなり難しいことだろう。今年は越後湯沢〜福井を結ぶ北陸3県の行程で、部員みずから撮影&編集を行う合宿の動画も面白い。

黄田さん:「旅行会社の方からも行程を褒めていただいたことがあって、部活動とは別に個人で「鉄旅 OF THE YEAR」というコンペに挑戦しようと準備を進めています。行程をつくる力が自分にはどれだけあるか試してみたいなと思います」

学校の勉強とは別に旅行業務取扱管理者の資格取得に向けた勉強もしているそうで、「好き」を追求する気持ちが切り拓く未来を感じる瞬間だった。

 

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