第1回: 家族で幸せになる受験

<はじめに〜この連載で伝えたいこと〜>

はじめまして。熱海(あつみ)康太と申します。
この連載をお読みくださる方の多くは、今まさに中学受験の渦中にいらっしゃるのではないでしょうか。「うちの子、本当に受験する気があるのかしら」「私ばかり焦って、空回りしている気がする」そんな不安を抱えながら、毎日を過ごしていませんか。

私は、公立小学校と私立の名門とされる進学校で約20年教壇に立ち、その後、民間の教育研究所で研究員として勤務してきました。現在は一般社団法人日本未来教育研究機構の代表理事として、10冊以上の教育書を執筆し、全国10,000人以上の先生方に講演を行うなど、教育現場に携わり続けています。

これまで数多くの子どもたち、そして保護者の方々と向き合ってきました。その中で、中学受験という大きな挑戦に立ち向かう親子の姿を、たくさん見てきました。志望校に合格して喜びの涙を流す家族。思うような結果が出ず、悔しさをにじませる子どもたち。でも、私が最も心を痛めたのは、受験が終わった後に「あの時期は本当につらかった」と振り返る親子の姿でした。

中学受験は、確かに子どもの人生において大きな節目です。でも、それ以上に大切なのは、その過程で親子がどう向き合い、どんな関係を築いていくかということです。残念ながら、受験をきっかけに親子関係がギクシャクしてしまう家庭を、私は数多く見てきました。

「なんで勉強しないの!」と怒鳴ってしまう。模試の結果に一喜一憂する。子どもの前で泣いてしまう。そんな日々を送る保護者の方々に、私は何度も出会ってきました。そして、その方々は決して「悪い親」ではないのです。むしろ、子どものことを誰よりも真剣に考えているからこそ、苦しんでいるのです。

少なくない受験生保護者が「子どもがやる気を出さない」ことにストレスを感じています。でも、知っていただきたいのです。そのストレスは、決してあなた一人が感じているものではありません。そして、完璧な親である必要もありません。

この連載では、私がこれまで教育現場で学んできたこと、そして多くの親子を見てきた中で感じた「本当に大切なこと」をお伝えしていきたいと思います。タイトルにもあるように、この連載のテーマは「家族で幸せになる中学受験」です。合格だけを目指すのではなく、その過程で家族の絆を深め、子どもの成長を見守り、親としても成長していく。そんな豊かな時間にするためのヒントを、全12回にわたってお届けします。

<この連載で扱う内容>

第2回からは、具体的なテーマに沿って、中学受験を乗り越えるための考え方や実践的な方法をお伝えしていきます。

親子の温度差にどう向き合うか。「勉強しなさい」というNGワードから卒業する方法。親自身のストレスとの向き合い方。「見守る」と「放置」の違い。夫婦間の温度差をどう埋めるか。そして、子どもが「受験やめたい」と言ったときの対応。さらには、試験当日に親ができること、合格発表後にどう受け止めるか。

これらすべてのテーマに共通するのは、「子どもを信じること」「完璧を求めないこと」「親子の関係を何より大切にすること」という視点です。私が教育現場で大切にしてきたのは、「即効性、再現性、持続性のある実践」です。理想論ではなく、今日から実践できる具体的な方法。誰にでもできる、でも確実に効果のある関わり方。そして、一時的ではなく、長く続けられる心の持ち方。

この連載でも、そうした視点を大切にしながら、皆さんと一緒に「家族で幸せになる中学受験」について考えていきたいと思います。

<中学受験は「親の受験」>

よく「中学受験は親の受験」と言われます。これは、親がすべてをコントロールするという意味ではありません。小学生の子どもには、まだ長期的な目標に向かって自分を律する力が十分に育っていないからこそ、親のサポートが必要だということです。

でも、そのサポートのあり方を間違えると、親子ともに疲弊してしまいます。過干渉になりすぎても、放置しすぎてもダメ。ちょうどいい距離感を見つけることが、何より大切なのです。

また、中学受験の価値は、合格することだけにあるのではありません。その過程で、子どもが努力することを学び、失敗から立ち直る力をつけ、自分なりの目標に向かって進む経験。それらすべてが、これからの人生の財産になるのです。

<最後に>

もし今、あなたが一人で悩んでいるなら、もし、「私の関わり方は間違っているのではないか」と不安を感じているなら、この連載が、少しでもあなたの心を軽くするお手伝いができれば幸いです。

完璧な親である必要はありません。ただ、子どもの一番の味方でいること。それだけで十分なのです。どんな結果になっても、親子関係は素晴らしい。その頑張りは、必ず報われます。ただし、「報われる」の意味は、合格だけではありません。家族で一緒に頑張った時間、その全てが、かけがえのない宝物なのです。

家族で幸せになる中学受験という、新しい道を歩んでいきましょう。

【プロフィール】熱海康太(あつみ・こうた)

一般社団法人日本未来教育研究機構 代表理事。大学卒業後、神奈川県内の公立学校、私立小学校で教壇に立つ。その後、民間教育研究所の主任研究員を経て、現職。即効性、再現性、持続性のある教育実践をSNSで発信し、教育関係者から支持を集める。全国10,000人以上の先生方に講演を行うなど、幅広く活動。著書に『こどもモヤモヤ解決BOOK~もふもふ動物に癒やされながら、みんなの悩みをスッキリさせる159のヒント~』(えほんの杜)、『こんなときどうする? 失敗&ハプニング立ち直り術: 5分でカイケツ道場シリーズ』(実務教育出版)、『学級通信にも使える!子どもに伝えたいお話100』『伝わり方が劇的に変わる!6つの声を意識した声かけ50』(東洋館出版社)など10冊以上の教育書を執筆。

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