藤原遥人の東大合格体験記 第3回 受験期の一日の過ごし方

今回はかなり受験生にとって身近で参考になりそうなスケジュールの話をします。高校時代は当時やっていたオンライン塾にかなり時間を費やしていたので、高1では留年ギリギリになるほど勉強をサボってしまって、高2からは赤点を取らない程度にしか勉強していませんでした。オンライン塾を退身し、高3の春からは受験を意識してしっかり勉強するようになりました。そこで今回は、そんな高3の1年間のスケジュールを平日・休日に分けて紹介します。

目次
・平日の一日
・休日の一日
・まとめ

平日の一日

学校の始業は、8時10分。7時20分の電車に乗るために7時10分には出なくてはならず、7時に起きていました。6時半くらいに起きれば余裕を持って出発できるのですが、どうせ二度寝してしまうならば連続して寝ようと考えて7時起きが日課になりました。寝癖も顔のむくみも気にせず、遅刻しないことだけに集中して登校できたのは男子校に3年間通って唯一良かった所です。しかし僕はロングスリーパーなので7時間で足りるわけもなく、行き帰りの電車と午前の授業中は寝てしまっていました。開成は授業を聞いてても聞いていなくてもテストで点数を取れば許してくれる学校なので、授業中の過ごし方は寝るか隣の席の子と喋るか内職するか漫画を読むかでした。(あんまり良くないです。)

学校が終わると習い事のダンスに行きます。ダンスは当時付き合っていた彼女の影響で高2の秋に始めて、楽しかったので週3回は通っていました。都内にスタジオがいくつかあって常に誰かしらの先生のレッスンが開かれているので、行ける時間帯のレッスンに参加する形式です。ダンスに行く日はダンス用の服と室内シューズとシャワー後のタオルを持って学校に行っていたので、リュックはパンパンでした。家に帰るといつもリュックの中が汗臭かったです。

ダンスが終わるとお腹が空くのでスタジオの近くのラーメン屋に行って、大盛りラーメンと白飯を食べるのが自分へのご褒美でした。町中華が大好きなので美味しくてコスパ最強のお店を見つけた時はその日のテンション爆上がりです。

ダンスがない日はよく彼女と会ってました。あとは映画を観るのが大好きなので、月に3回は一人で池袋のグランドシネマサンシャインに行って、大画面に圧倒されていました。とにかく学校が終わってから夕方までは、自分の趣味や遊びに時間を使って楽しんでいました。

夕方から夜は勉強です。自習室代わりに東進に通っていたので、いつも東進の仕切られた勉強机に向かって4時間集中して勉強していました。着いたらまず今日何をどのくらい勉強するのか、その日のスケジュールを裏紙に書いて見通しを立ててから勉強を開始します。席を立つのはトイレに行く時だけで、分からないことがあればすぐググる。それでも分からなければLINEのKeepメモに書いたりその問題の写真を撮って、次の日友達に聞いていました。22時に東進は閉まるので、その後家に帰ります。集中力がまだ続いててもっと勉強したい時や、キリが悪くて明日に持ち越したくない時は近くのスタバかマックに入って閉店まで続きをしました。

家に着いてからはお風呂に入って夜ご飯を食べて、水曜日のダウンタウンを見ます。水曜じゃない日は月曜から夜更かしを見ます。月曜じゃない日は録画してた脱力タイムスを見ます。バラエティが大好きなのでこの時間が至福でした。家では集中できないので、家に帰ってから勉強はしません。ここでやっても効率が落ちるだけなので次の日に回して、気分転換の時間にしちゃうのが僕のルーティーンです。

布団に入ってからはすぐには寝れないので、ラジオ感覚でいつも何か流すようにしていました。リスニングの勉強も兼ねて海外のポッドキャストを聞いているとよく眠れました。自分が無意識の時に流れる英語を聞き取れる程英語に長けてはいないので、最初は一生懸命耳をたてて聞いているのですが、段々疲れて眠くなってくると意味の分からないBGMに変わって寝心地が良いです。後は難しい勉強系のYouTubeも良かったです。大人の教養のための地理や世界史を発信するチャンネルを片耳で聴きながら寝ていました。これも最初は面白いけど眠くなってくると難しくて何を言っているのか分からないので眠りを妨げません。快眠です。

休日の一日

開成は土曜授業も毎週あるので、丸一日休みなのは日曜日だけでした。ロングスリーパーの僕は、週1回しかない有意義な休みの半分を睡眠で削る所から一日が始まります。起きてからすぐは何のやる気も起きないので、だらだらYouTubeを見て無駄な時間を過ごしながら目を覚ましていきます。1時間くらい経つと「何やってんだ俺。。」とようやく我に返り、飛び起きてリビングで遅めの朝食をとります。

そこから一日中勉強する日もあれば、夕方まで友達とカラオケに行ったり、彼女と出掛けたりする日もありました。僕のマインドとして、数時間遊んだだけで落ちるなら元々受かる筋がないんだと思っていました。受かる筋のある人はちょっと遊んだだけじゃ落ちない。効率的で本質を捉える勉強をしていれば他の時間に勉強以外のことをしても合格できるし、勉強しかしない1年なんてつまらない。「受験生」という概念は後から大人が決めただけで、本来入学試験に通りさえすれば1年間箱詰めになって勉強しなくても良いはず。「受験生は朝から夜まで勉強しなければならない」という虚構に縛られて勉強しかしなかったら、大学に入ってから勉強しか話すことがなくなると思って逆に怖かったです。勉強する時は惰性でやらずに本気で集中する。やらない時は切り替えてとことん遊ぶ。こうやって休日を過ごしていました。

ただ、流石に秋からは一日中勉強する日が多かったです。二次試験の過去問演習をすると一年分全科目を解くだけで9時間はかかるし、直しも同じくらい時間がかかります。夏くらいから過去問を解き始めて25年分を1周し、受験前日の夜ギリギリで全てを終わらせました。

こういう日は9時間連続で集中力を持たせるのは難しいので、お腹が空いたら休憩がてら近くを散歩して、ラーメン屋を開拓していました。お腹がいっぱいになるとそこからの集中力が一層下がるので、この時は白飯は付けずに大盛りラーメンだけいただきます。その時間も惜しいほど時間が足りない時は、コンビニでファミチキとパンケーキを買ってサンドウィッチにして胃を黙らせます。高校時代にこれをやり過ぎてもう飽きたので、大学生になってからは1回もやっていません。

家に帰ってからは平日と一緒です。日曜日は東進が早く閉まるので早めに帰って家族と話したり一緒にお笑いを観たりするのも楽しかったです。M-1グランプリやキングオブコントがある日はすぐに家に帰ってピザとポテチを用意して万全の体制を整えてから楽しんでいました。サッカーW杯期間は毎日がそれなので大変でした。

夏休み、冬休みは休日と一緒です。当時の生活を思い出して円グラフを作ってみたら全く同じになったので割愛しました。違うところがあるとすれば、夏休みは普段より時間があったので受験勉強以外の勉強もしたくてTOEFLの対策をしたり、折角の休みなので一人旅に行く日があったことくらいです。これについてはまた今度の回で話したいと思ってます。

まとめ

このスケジュールを見ていただければ分かる通り、僕は効率良く受験勉強ができたと思います。量より質が実現できたと自負しています。しかしこれは高校受験の時に質より量を経験したからです。中学生の時、2年間毎日死ぬほど勉強していました。それこそ塾に箱詰めになって授業のない日も先生に来てもらって5時間質問対応してもらったり、ノートをびっしり色んな色のペンを使って埋めたり、人生で初めて勉強をしたのでとにかくがむしゃらに頑張ったんです。ここで量をこなしました。でも高校受験を終えて振り返ってみると、これは効率が悪かったなとか、あれは無駄だったなとか、勉強法の粗が沢山ありました。それを削りに削って勉強法をブラッシュアップし、必要なことだけにフォーカスして勉強したのが大学受験です。量より質のステージに上がり、余った時間で趣味や遊び、受験対策以外の勉強やより発展した勉強ができました。

もし今まで思いっきり勉強した経験がなかったり、勉強で成果をあげた経験がない人はまずは質より量をこなしてみてください。ちまたの勉強法を真似して小手先のテクニックで効率的に勉強しようとするよりも、死ぬほど勉強して自分に合う勉強法、合わない勉強法の取捨選択をしましょう。それができてから量より質のフェーズに移行します。ここまで来ると、勉強法は受験勉強以外の全ての勉強に応用できるので、新しい知識や技術を学びたいと思った時に効率的に勉強できて、一生役に立つと思います。

この連載では、受験期の過ごし方や当時のエピソード、勉強のアドバイスを中心に書いていきます。東大に入って気付いたことや周りの東大生の生態なども話す機会があればしようかなと。楽しみに待ってていただければ嬉しいです!

著者紹介

藤原 遥人(ふじわら はると)

学校で教えないことを高校生が中学生に教え、勉強の面白さを伝える塾、寺子屋ISHIZUEの創業者。開成高校卒業。現在東京大学文科一類に在学中。大学ではダンスサークルとジャズオーケストラのピアノ担当で活動中。

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