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藤原遥人の東大合格体験記 第5回 東大受験を通して成長したこと

受験勉強で培った知識は1年もすれば忘れてしまうものですが、その過程で培った力は生涯自分の役に立つと思います。人それぞれその力は違いますが、僕にとってそれは独学力でした。大学受験はあまり塾や学校に頼らずに自分のやり方で勉強したという意識があるので、1年間の勉強を通して独学で何かを習得する能力に長けるようになったと感じています。そこで今回は、僕が東大受験を通して成長したと考える、この独学力について書こうと思います。

独学力

僕は授業を聞いて黒板の内容をノートに書く勉強法が嫌いでした。授業に出ると出席とか小テストとか先生の雑談とか、授業と関係ない時間が倍くらいかかって効率が悪いし、自分にとって簡単な問題の解説に長い時間がかかったり、逆に自分にとって難しい問題の解説が一瞬で終わってモヤモヤが残ったり、あんまり授業のメリットが感じられませんでした。それに加えて、塾に通ってノートをびっしり書いて小テストのために電車の中で暗記して、みたいな「受験生」になるのがダサいと思っていて、短時間で我流の勉強でぱぱっと東大に受かってやりたいと、勝手にカッコつけていた節もありました。

また開成や他のトップ高校に通う生徒の多くは、鉄緑会という塾生全員が東大か医学部を目指し、東大合格実績もトップクラスに高い新宿の塾に通います。その塾は宿題が多いことで有名で、色んな大学入試の問題を寄せ集めた独自のテキストを配って、圧倒的な量を解かせまくって受からせる、という方法を採用しています。そのため開成生は鉄緑会のテキストをリュックに詰めて学校に持ってきて、授業中に内職して終わらせます。教室で周りを見渡すと、みんな同じテキストを机に積み上げて朝から夕方まで問題を解き続けています。人によっては中学受験で開成に入学した中1の時から鉄緑会に入り、6年間通う人も一定数います。その勉強スタイルが自分に合う人は良いと思いますが、受験のやり方は多様でいいのに、みんなが同じ道を通って同じ勉強をしているのがどこか気持ち悪く感じてしまって、塾に頼った勉強、特に鉄緑会に頼った勉強は僕はしたくないと思っていました。

そこで僕は、自習室として使うために東進ハイスクールという塾で最低限の1講座だけ受講し、また開成の校内模試の成績が良かったので特待生で入れた早稲田アカデミーという塾で数学だけ受講して、あとは独学で勉強することにしました。東大文系は英語、数学、世界史、地理、国語の5科目と、共通テストで理科基礎2科目も入れて7科目勉強しないといけないので、科目数が多い中で独学で勉強するのは大変ですが、その方が自分の力になると思っていました。

具体的に、各科目をどのように勉強していたか紹介します。

英語
リーディングは海外のネットニュースを読んで、リスニングは海外のYouTubeやラジオを聞いて身につけました。元々中学時代から得意科目だったので、新しく文法や単語を覚えるというよりは、英語力を維持しつつ知らない単語や表現が出てきたらその都度調べて覚えるようにしていました。ただ英語は将来使えるようになりたかったので、オンライン英会話でスピーキングの練習もしたり、課外活動的な形で海外大のプログラムに参加したりもしていました。単語帳は、英検準一級を受ける時に1.2ヶ月だけ使いました。数学
塾で教え方が好きな良い先生に出会えたので、その先生の授業を毎週受けて数学的な考え方を身につけました。半年ほど受けてからは、考え方を身につけてからは参考書の問題を解きまくりました。世界史
主にYouTubeで勉強しました。最初は定期テストレベルの大まかな内容を知るための動画200本から見始めて、復習も兼ねて同じレベルの別の動画200本を見てから、難しいレベルで構造的に世界史を教えてくれる動画を400本くらい見ました。動画なので2倍速にして、電車の中や寝る前に聞いて、大事なことはノートに書き殴って見返せるようにしておきました。たまに「大人の教養のための世界史」みたいな、逸話を教えてくれる動画も見て気分転換にしていました。

地理
沢山本を読んでいました。地理や地政学から今の政治や経済を読み解く本を毎月2冊くらい読んでいました。普段全く本を読まない僕にとってこの2冊は大きかったです。あとは世界各国のイメージをつけるために、新しい地名を知ったらすぐにGoogleマップで調べたり、国紹介のYouTubeを見たりしていました。そのお陰で世界の色んな絶景スポットを知ることができて、スマホのメモに行きたい場所リストを作ってびっしり埋めました。

国語
現代文は、林修先生の講座を取っていたので塾に頼りました。参考書や本は使わず、この1講座だけで完璧にしようと集中して受けて、あとは過去問を解きまくりました。
古文・漢文は、本屋さんで参考書を買って解きまくりました。単語帳は使わず、文章を読みながら分からない単語があったら調べるようにしていました。ただ、あんまり伸びなかったので途中から古文・漢文で点数を取るのは諦めて他の科目で点数を稼ぐことにシフトしました。

理科
理系が受験する理科は文系の理科よりももっと難しいので、この科目は独学でやる受験生も多いです。過去問を解き直して、というサイクルを10年分くらいやって完成させました。

数学や現代文など、塾に頼るところと、英語や世界史、地理、理科など自分で勉強の仕方を模索して突き進むところと、うまく使い分けて効率よく勉強できたと思います。数学と現代文で塾を使ったのは、数学はまずは新しい概念を正しく理解する必要があるので、独学でやるより先生に教えてもらった方が早いと思ったからで、現代文は一回林修先生の授業を受けてみたかったからです。実際にめちゃくちゃ良い授業でした。

高2の終わりまではオンライン塾の運営をメインにやっていた僕にとって、がっつり勉強に向き合える時間があるのは高3の最後の1年間しかありませんでした。その中で自分より多く勉強している他の優秀な受験生に勝つためには、やり方や知識を暗記するのでなく本質を理解する勉強をしないといけないと思い、自分の独学法を考えました。具体的にはこんなやり方です。

1.まずは全体像を把握する
例えば何も知らない状態から世界史の勉強を始めるときは、古代から現代まで、まずは時代や人名など覚えなくていいから、ザッと動画を流して全体像を掴みます。英単語を覚える時も、1周目は覚えなくていいからとりあえず頭に読み込ませる作業をします。2.分からないことは全部調べる
聞いたことはあるけど意味は知らない言葉、読み方は分かるけど意味は分からない漢字、場所が分からない国、何回か文章に出てきたけど意味を忘れてしまった英単語など、分からないことは片っ端からGoogleで検索にかけます。分からないまま放っておいた物が、どこかで問題になって出てきたり、文章を理解する上で苦労したりする足枷になることは多々あるので、それを完全に排除します。3.間違えた問題からは教訓を一つ得る
なぜ間違えたのか、どこが見えてなかったから間違えたのか、根本的な考え方が合ってなかったのか、間違えた原因を分析して次回以降繰り返さないための対策を練ります。その対策を自分ルール、つまり教訓にして持ち帰って、別の問題を解く時に思い出しながら解きます。新しい技を覚えても使えないと意味がないので、問題を解きながら使っていくイメージです。教訓自体は自分で作った物なのでボロがあったり、本質をついていない教訓だったりすることも勿論あるので、問題を解きながら、その教訓が実際に使えるのか使えないのか確かめるのです。

当時、この3つのやり方を意識して使っていたわけではなかったです。今振り返ると僕の勉強法はこの3つで説明できると思ったので紹介しました。受験が終わってから気がついたのは、このやり方は受験勉強以外にも使えるということ。大学に入ってからも、社会人になってからも、新しく勉強することは沢山あるはずです。その度に、まずは全体像を把握して勉強の見通しを立ててから、分からないことはすぐ調べたり人に聞いて解決し、実践をする中で教訓を持ち帰って磨き上げていく。このプロセスは普遍的に使えると思うし、勉強法を自分で試行錯誤しながら考えた結果得られた、独学力だと思っています。

一方で、受験勉強を独学でやるのはいいことばかりではありませんでした。模試を受けたり過去問を解く中で思うような点数が出なかった時には、自分のやり方は間違っているんじゃないかと思うこともありました。自己流でやって結果が出てないのが一番格好悪いので、俺ダサいなって嫌になることもありました。ただ、勉強の開始時期が遅かったのでやることをやり続ければ冬ごろには完成してるはずだと信じて、自分のやり方を曲げずにやり通しました。なんとか最終的には思った通りに冬ごろには安定して合格を目指せる点数を出せるようになったので自分を信じてよかったです。

著者紹介

藤原 遥人(ふじわら はると)

学校で教えないことを高校生が中学生に教え、勉強の面白さを伝える塾、寺子屋ISHIZUEの創業者。開成高校卒業。現在東京大学文科一類に在学中。大学ではダンスサークルとジャズオーケストラのピアノ担当で活動中。

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