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藤原遥人の東大合格体験記 第4回 モチベーションの上げ方

モチベーションの維持は受験生誰もが通る難関です。本来受験なんてなければやらない勉強を、遊びたい欲望に抗ってやっているので、勉強のモチベーションがないことは当然だと思います。もし進学校の生徒は勉強を好きでやっているからモチベーションの維持なんか考えていないと思ったら、それは大間違いです。彼らが一般的な高校生よりは勉強が好きだとはしても、自分がやりたい別の勉強やゲームの時間を削って受験勉強をするのは苦痛に変わりありません。彼らはその中で勉強の面白さを見出し、自分のやる気を引き出してあげるという自己マネジメントに長けているからこそ難関大学に合格するのです。僕はこのモチベーション維持力が、受験という長期戦を勝ち抜く上で意外と重要な能力だと思っています。そこで今回はモチベーションの上げ方について、僕の実体験を元にお話しします。

目次
・文化祭に行く
・音楽の使い方
・妄想とプレッシャーが3:7
・まとめ

文化祭に行く

短期的にモチベーションを上げるときは文化祭に行くのが一番です。文化祭で楽しそうな学校生活を送っている先輩達を見て、自分もこうなりたいと憧れを抱けば3日はそのモチベーションで勉強が捗ります。これは自分の志望大学じゃないても構いません。例えば明治大学志望なら、同じレベルのMARCHや、それより難しいの早慶や東大の文化祭に行くのもいいでしょう。受験生は他の同い年の受験生と一緒に過ごす時間が圧倒的に長いので、目の前の宿題を片付けることで頭がいっぱいになって考えが狭くなり、本来の目的である大学生活のことを忘れがちです。お兄さんたち、お姉さんたちに会って、大学に入ったらどんな部活に入ろうかなとか、どんな恋愛しようかなとか、勉強以外の私生活面に思いを馳せてみて下さい。

何より文化祭は、子供からしたら親に怒られずに遊びに行ける口実になります。特に中学高校受験の受験生はまだ小中学生なので、親にNOと言われたら諦めてしまう子が多いと思いますが、文化祭に行くことにNOという親はいないと思います。合法的に勉強から解放されて遊びに行ける文化祭、絶対に見逃さないでください。

文化祭の良い所もう一つは、11月に多いことです。11月と言えば過去問を解きまくって同じような形式と難易度の問題に飽きている頃です。春から夏休み明けくらいまではまだ学ぶべきことが多いので新しい知識との出逢いに勉強の面白さを感じやすいのですが、11月から受験期はもう知っている知識を使って問題を解くだけなので、正直一番つまらない時期です。忘れている知識を思い出して、また忘れては思い出すという地道な作業から抜け出して文化祭に行きましょう。

僕は高3の11月が勉強のやる気が一番ない時期でした。そんな時期、東大の駒場祭があったので開成の友達と2人で見に行きました。東大には東大娘という東大生女子だけのアイドルグループがあって、そのステージがあったので人混みをかきわけて観覧していました。めちゃくちゃ可愛い子ばっかだったで、案の定僕の勉強熱に火がつき、次の日から絶対に東大に入ってやるという強い意志を持って勉強に打ち込みました。過去問がつまらないなんていう文句は一言も言わなくなりました。嘘みたいな話ですが、それもあってか11月に受けた東大模試がC判定だったのに対し、1月に受けた東大模試ではA判定を取り、当日まで余力を残して合格したんです。東大娘のおかげで受かった馬鹿な男達は僕以外にもいると思います。

僕の場合、文化祭に行ってから東大生に対するイメージが大きく変わりました。行くまでは東大生はガリ勉ばっかでカッコいい人もかわいい人もほとんどいないだろうと思っていたのですが、行ってみたら全然そんなことはなく、カッコいい人もかわいい人も結構沢山いました。ミスコンに出てるイケメンで勉強もできる先輩達も見て、もはや勉強ができることなんて最低条件で、プラスアルファ何かないと駄目だと感じました。僕はすぐ何かに影響受けちゃうので、今回もしっかり感化されて帰りました。文化祭、最高です。

音楽の使い方

いざ勉強しようと思って机に向かう時や、無音の中での勉強に飽きて何かメリハリが欲しい時、音楽は必須ですよね。僕も音楽を聴きながら勉強していました。最近のどこかの研究結果で、数学や理科の計算問題など作業系の勉強をする時は音楽は有効で、他の、国語や英語など文章を読んだり書いたりするような勉強をする時は音楽は非効率らしいです。参考文献はありません。その研究結果を知ったからではありませんが、僕も自然と数学を勉強する時は音楽をかけて、他の科目の時はかけずに勉強していました。言い方が合っているか分かりませんが、数学はあまり頭を使わずにも解けるから音楽で聞こえる歌詞が邪魔にならないんです。一方で国語や英語は毎回その場に出てくる文章に沿って頭をフル回転させて考えなくてはならないので、聞こえてくる歌詞が邪魔で集中できません。そんな時は代わりに自然音を流していました。

音楽を使ってモチベーションが上がるというよりも、音楽によってやる気がないマイナスの状態からゼロの状態に持ってくるイメージです。音楽があるからめちゃくちゃやる気がある!という訳ではありません。

僕の音楽の使い方は、Spotifyというアプリで洋楽を流し、勉強しながら気に入った曲があればお気に入りのプレイリストに追加し、プレイリストに曲が溜まったらそこから音楽を流すことです。高3の1年間この使い方をしていたので、プレイリストに100曲くらい溜まって曲の順番まで覚えてしまいました。大学生になってからも同じように使っているので、今は高校時代の100曲と大学入ってからの100曲が同じプレイリストに混同していて、奥の方に眠っている高校時代のお気に入りの曲が流れてくると、受験期を思い出してニヤニヤしています。

たまにラップの歌を気に入ると、英語の歌詞を調べて同じ速度で歌えるようになるまで、夜中から朝までラップの練習をする時もありました。今思い返すとなんの意味も無い時間だったと思います。

特に僕が好きだった曲をいくつか紹介しておきます。


・Levitating(feat. DaBaby) – デュア・リパ, DaBaby
・Light Switch – チャーリー・プース
・Window shopping – Yorke, joan
・Antisocial (with Travis Scott) – エド・シーラン, トラビス・スコット

妄想とプレッシャーが3:7

受かってキラキラしてる自分を想像してニヤニヤすることも大切です。僕は、東大に毎日通って京王井の頭線の駒場東大前駅で降りる時に、「この人この駅で降りるってことは東大生なんだ、、すげぇ、、」という他の乗客からの熱い羨望の眼差しを背中に感じながら、自分は後ろを振り返らずに颯爽と降りることを妄想して気持ちよくなっていました。大学外の人に「大学どこですか?」と聞かれて「一応、東大です。」と答えることもやってみたかったです(笑)。勉強のやる気がなくなったらこんなちょっとしたしょうもないことを考えてやる気を引き出していました。

逆に落ちたらダメだというプレッシャーも感じていました。そもそも開成高校はほとんどが東大か医学部を受けてその半分が合格するので、落ちたら下半分になってしまうことが嫌でした。それに学校ではあんまり勉強しないキャラだったので(帰ってからバリバリ勉強してます)、勉強してなくてもできると思われたいのに、落ちたら「やっぱりできないんだ」と思われる気がして嫌でした。

塾は東進ハイスクールに通っていたのですが、僕は自己流の勉強法を確立していたので、東進のチューターのアドバイスを聞いたり勧められた講座を取ることは全くせず、在籍するのに最低限のお金だけ親に払ってもらって自習室代わりとして塾を使っていました。東進のコンテンツをあまり使わずに自分のやり方を貫いていたので、模試の成績が振るわなかった時は居心地が悪かったし、なんとなく「ほら見たことか」と思われているような気もしていました。(今思うと僕が勝手に感じていただけだったと思いますが。)だからこそ最後は東大に受かって自分が間違っていなかったことを証明したいとずっと考えていました。

加えて僕の場合、この『中学受験スタディPASS』の連載を高校生の時からやらせていただいていて、こういう勉強の仕方は効率が悪いだとか、こうすれば小学生は勉強のやる気が出るだとか、勉強についての偉そうな発言をしてしまっていたので、落ちたら説得力がなくなって連載の信用度が下がってしまうことも考えていました。

また高2の冬に当時やっていたオンライン塾にテレビ朝日の番組が取材に来ていただけることになり、番組の方向性についてディレクターさんと電話でお話ししたことがありました。番組側は「東大受験と塾経営、二足の草鞋を履くスーパー開成生」という出し方をしたかったそうなのですが、当時まだ本格的に受験勉強を始めていないのもあって本当に東大に受かるのか不安で、東大を目指していることを伏せて欲しいという諭旨を伝え、出方を変更しました。

このように周りの人間関係とか世間からの見られ方を気にしてびびってプレッシャーを感じることも多かったです。ただそのプレッシャーに押しつぶされることはありませんでした。逆に言えば全て合格すれば解決する話だし、受かるか落ちるかは自分の実力次第なのだから、受かって実力を証明してやろうと思って反骨精神で頑張っていました。僕の中で大学に受かることを考える妄想と落ちることを考えてのプレッシャーの割合は3:7くらいでした。この適切な割合は人によって違います。

プラスのことを考えてワクワクを原動力に頑張れるタイプの人と、マイナスのことを考えてそれを避けるために頑張れるタイプの人がいます。そしてこれは0か100かの問題ではなく、割合の問題だと思うので、自分のタイプに合わせて妄想を膨らませるべきかプレッシャーをかけるべきか使い分けられたらいいと思います。

まとめ

モチベーションには、短期的かつ突発的に上げる方法と長期的かつジワジワと維持する方法の2つがあり、両方を組み合わせて自分を管理することが重要なのだと思います。僕の場合、短期的には文化祭に行き、長期的には妄想とプレッシャーで自分を鼓舞しつつ、いざ勉強する時に作業効率を落とさないために音楽を使っていました。モチベーションが湧かない人は何か憧れがあったほうがいいでしょうし、モチベーションが続かない人は自分と向き合って今何するべきなのか深く考えたほうがいいと思います。

そして自分に合う勉強法が人それぞれ違うように、モチベーションの上げ方についても、人それぞれでやり方が異なります。まずは色々な方法を試して、自分に合う方法を見つけられたらそれに絞りましょう。何事も一朝一夕にはいかないものです。

著者紹介

藤原 遥人(ふじわら はると)

学校で教えないことを高校生が中学生に教え、勉強の面白さを伝える塾、寺子屋ISHIZUEの創業者。開成高校卒業。現在東京大学文科一類に在学中。大学ではダンスサークルとジャズオーケストラのピアノ担当で活動中。

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