藤原遥人の海外大放浪紀[第5回]米大学見聞録(東海岸前編) -Harvard university, MIT, Boston College, Boston University-

海外大進学という選択肢を当たり前にしたく、この連載に取り組んでいる藤原遥人です。前回の記事はこちらからご覧ください。僕は日本で生まれ育ち、海外大受験を意識していたものの、結局日本の大学に進学しました。大学進学後、憧れの米英大を一度自分の目で見てみたく、全て自分で計画して自費で米英に渡航し、在校生の知り合いの力も借りながら20校以上見学しに行きました。この連載では、そんな非帰国子女純ジャパの僕から見た海外トップ大の実態を書いていきます。今回はアメリカ東海岸前編です。

2023年9月19日から28日まで、ロサンゼルス→ボストン→ニューヨーク→シカゴに行き、東海岸では9校を見学してきました。今日はその内、前半3校の見聞録を紹介します。

・Harvard University
・MIT (Massachusetts Institute of Technology)
・Bonston College
・Boston University
・Brown University
・Columbia University
・New York Univeristy
・Yale University
・Chicago University

Harvard University

世界で一番有名な大学、ハーバード大学に行ってきました。僕が高校時代、海外大受験を考えていた頃は、とりあえずここを目指そうと、日本の高校からハーバードに行った先輩にインスタでDMしてZoomを繋いでもらい、アドバイスを貰ったりもしていた、そんな夢の大学に行ってきました。

地下鉄Harvard Square駅から出てすぐの所にあり、入ってみるとキャンパスはそれほど大きくなかったです。カリフォルニアのUCLAやStanfordのどでかさに比べると、キャンパス内移動にスケボーもチャリも要らず徒歩で行けるくらいでした。

大学のホームページから誰でも無料で申し込めるキャンパスツアーを事前に予約して、その時間に合わせて行きました。キャンパスツアーは、ハーバードの学生が大学を案内し、大学から給料をもらうというもの。最初に、講堂で1時間ほど大学の紹介をされてからグループごとに回りました。案内してくれた学生は、学級委員長タイプのど真ん中エリートって感じでした。参加者は全米から集まったハーバード志望の高校生とそのパパママ。アメリカで教育に力を入れている家庭では、夏休みに家族で飛行機を取って大学見学に行くんだそうです。

ハーバード大学は、イギリスからピリグリムファーザーズが渡ってきてから、アメリカ版Oxford大学Cambridge大学を作ろう!という流れの中でできたアメリカ最古の大学で、それを皮切りにイェール大学やプリンストン大学、コロンビア大学などのアイビーリーグと呼ばれる大学群(賢くて金持ちが行く大学というイメージ)が作られました。

歴史が古いため逸話が多く、キャンパスツアー中も色々紹介してもらいました。例えば一番有名な逸話は、フォトスポットの銅像。ハーバード大学創設者、ジョン・ハーバードが1636年に創設したことを記念したの銅像なのですが、

これは “the statue of three lies”と言われていて、①創設年は1636年ではなく実際は1638年、②ジョンハーバードは創設者ではなく第一後継者でしかない、③ジョン・ハーバードの顔ではなく、昔の学生の誰かの顔、なんだそうです。案内してくれた学生が、自信満々に嬉しそうに喋っていました。ハーバード生みんなこれを喋りたくて仕方ないんだと思います。全員共通のシンボルを心の中に抱えている感じがしていいなぁとも思いました。

僕が行った時期は新学期始まって早々だったので授業もいくつかやっていて、折角なのでハーバード生のフリをして忍び込んでみました。

授業をやっていそうな部屋にランダムに入ってみたのですが、こんなに大きな講堂で、化学の授業が行われていました。たまに、アメリカの大学は日本と違って双方向型だし、ディスカッションばっかなんだよ、と言う論調があるのですが、こういうレクチャーを聞くだけの日本と同じような授業も多かったです。日本の大学と違ったのは、生徒の勉強への熱心さでした。教授が喋っている途中で手を挙げて発言をし、気になったことを質問する。それを教授が答えるより前に他の学生が「こう言うことだと思うよ」とアンサーする。そんな光景が何回かありました。大講堂の授業で、恥ずかしがらずに純粋に学問への興味で活発に発言する学生の姿はかっこいいなと感じました。東大ではまずない光景です。

歴史の授業は簡単でした。大学受験でやる勉強の方が難しかったので、少し拍子抜けでした。

その後は、日本の高校からハーバードに進学した先輩にアポを取っていたので、学生ラウンジで話す時間を貰いました。アメリカでの就職について聞いてみました。日本人としてアメリカの大学に進学しても、そのまま簡単にアメリカの企業に就職できるわけではないそうで、まずは在学中に専用ビザを発行してもらってインターンシップに行き、結果を出せばそのまま採用されるかもしれない。もしくは日本に戻ってグローバル企業の海外大学生用の枠で就職をし、日本で数年働いてからアメリカ支社に送ってもらえるようなポジションに就く、と言うのが現実的なパターンだそう。他の日本の高校からハーバードに進学した先輩も、就職は日本でしていたので、ハーバード生でもアメリカ就職がそこまで単純で簡単ではないのだと教わりました。

MIT

理系世界一位の大学です。ハーバードから地下鉄で2.3駅で、川を渡って自転車でも来れる距離にありました。こちらも事前にキャンパスツアーを予約して、MITの学生に案内してもらいました。ハーバードの時の学級委員的なリーダーというよりも、めちゃくちゃ能力高い仕事人みたいな感じがしました。

キャンパスツアーで紹介されたこの建物はComputer Scienceの建物で、MIT生の半分は専攻する看板学部なのですが、凄く奇妙な形をしています。これは昔建築学部の学生が適当に書いた設計図をゴミ箱に捨てたところ、それを見つけた建築士が面白いと拾って作ったものだそうです。賢い中にも遊び心があって、ここで学びたい!とひたすらに憧れました。

MITはオタク気質の学生が集まる大学で、小さい時から自分でロボット作りをしていたり、一人でプログラミングでゲームを作ったりと、数学とパソコンが得意でクリエイティブな学生が多いです。そのためMITでは「ハック文化」というのがあります。ハック文化とは、MITの学生の内輪ノリで、悪質ではなくクレバーないたずら文化のことで、例えば、ある建物のドームをR2D2にしたり(下の写真)、上に実寸大のパトカーの模型を置いたりするそうです。撤去費用が100万円近くした過去のハックもあったそうですが、教授が肩代わりしてくれたそうです。クレバーのいたずらをしても、それでよしとするエリートの遊び心がいいなと思いました。過去のハックはここにまとまっています。

また驚くことに、MITを卒業するまでにしなきゃいけないことが、水泳の100mを泳ぎ切ることだそうです。いくらお勉強ができても水泳ができないと海難事故にあって死ぬからでしょうか、他にもコロンビア大学やコーネル大学も卒業までに泳力を求められるみたいです。

MITでは、僕が興味を持っていた都市工学の学部があったので、都市工学部の建物に入って授業後に出てくる学生に話しかけ、次の時間割の授業について行かせて欲しいと頼みました。新学期だったのでガイダンスの授業で、海外研修の授業の紹介でした。ブラジルやインドや南アフリカやカリブ海の国の大学の都市工学部の教授とZoomを繋いで、MIT生がどの国の研修に行くかを決める判断材料となるように、各教授がプレゼンをしていました。世界の研究の最先端であるMITから、現場の空気を学びに学生が世界に飛び回る、その玄関口という感覚があって、見ていてわくわくしました。授業に忍びこましてくれたMIT生の彼とは、授業後インスタを交換してお別れしました。

MITのお土産はこのTシャツを買いました。理系の人は読めると思います!

Boston College

郊外の住宅街の奥の森の方にある、社会から少し距離をとったリベカレ (リベラルアーツカレッジ) でした。バスと路面電車の乗り継ぎで、ボストンの中心から1時間ほど離れたところにあります。前回の記事でも説明した通り、リベカレは、何か専攻を決めてその分野の専門家になることよりも、浅く広く色んなことを学んで教養をつけ、自分の人生を豊かに生きることを目的に作られました。研究機関というより教育機関という側面が強く、そのため世俗社会と距離を取って勉強に集中する環境が整えられています。

いつも通り授業にさらっと忍び込もうとしたのですが、教室のサイズが高校の教室くらいしかなく、少人数だったのですぐにバレてしまいそうで断念しました。リベカレあるあるの、教授一人当たりの生徒数が少なく、教育が行き届いている現場そのものでした。

雰囲気は、15箇所行ったアメリカの大学の中で一番東大本郷キャンパスに近かったです。中央に象徴的な建物が一つあって、その周りに中世ヨーロッパ的な建物がいくつもあり、その内側には芝生があって生徒が外で本を読んだりパソコン作業をしている。少し離れた所にはアメフト場がある、という素敵なキャンパスでした。下の写真の建物が、東大の安田講堂に立ち位置的にちょっと似ていたので親近感が沸きました。

僕がキャンパスに到着した時間は朝早くてちょうど1限が終わって2限が始まる時間だったので、学生がキャンパス中を列をなして歩いて教室移動をしていて、学生気分を味わえました。アメリカの大学生活に憧れていた僕としては、あの瞬間は最高でした。

Boston University

和訳すると同じボストン大学でも、別の場所にある全くの別物なんです。こちらは郊外ではなく中心市街にあり、キャンパスも10階建てのビルでできている建物もあって現代的でした。中の建築もかっこよくて、下の写真はcomputer scienceやengineering、businessの建物だったのですが、理系の勉強心が揺さぶられる、やる気が沸々と湧いてくる建築でした。今回のアメリカ旅で何度か感じた、「ここで学びてぇ!!」が起こりました。

せっかく来たので、Boston Universityのこの理系の建物を1階から10階まで隈なく歩いてみました。1階は生徒のフリースペースで、2階に行く幅広い階段の一段一段にはソファが置いてあり、寝そべって宿題をやる学生たちがいました。2階以上に教室があって、ガラス張りなので外から授業の様子が見えるのが最高でした。上の階に行くと教授のオフィスになっていて、教授や博士課程の学生一人一人に一部屋与えられていました。面白かったのは、外側の壁がペンで文字が書ける白板仕様になっていて、各分野の教授ごとに今取り組んでいる数式が書いてあったこと。全然内容は理解できなかったけど、俺は今この研究をしてるんだぞ!という中間成果発表を周りに見せているようで面白かったです。

次は東海岸後編です。Brown University、Columbia University、New York Univeristy、Yale University、Chicago Universityといった名門校の見聞録をお話しします!

著者紹介

藤原 遥人(ふじわら はると)

開成高校在学時代、学校で教えないことを高校生が中学生に教え、勉強の面白さを伝える塾、寺子屋ISHIZUEを創業。現在東京大学文科一類を休学中。東大では、ハーバード大学とアジアのトップ大学の国際交流を図る学生団体HCAPに所属。休学中はアメリカ横断やヨーロッパ一周一人旅など海外への視野も広げている。



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