大学入学共通テストの科目に採用
2021年3月、大学入学共通テストの教科として「情報」が採用されることが公表されました。2025年1月に実施される同テストからですので、2021年4月現在、中学2年に在学中の生徒たちから、ということになります。今も「情報」の授業を受けている生徒たちはともかく、保護者世代の中には、このニュースにピンとこないという方々も少なくないかもしれません。まずは教科としての「情報」について少し見ていきましょう。
2003年度に始まった「情報」
高校に教科として「情報」が新設されたのは、2003 年度のことでした。当初は、「情報活用の実践力」を育成することを目的とする「情報A」、コンピュータを活用するための科学的な考え方や方法の取得を目指す「情報B」、情報社会に参加する上で望ましい態度を育成する「情報C」の3科目がありました。2012年度の改変を経て、2022年度に新たな「情報」がスタートする予定となっています。
新学習指導要領で生まれ変わる「情報」
2022年度に新たな「情報」が始まるのは、新学習指導要領が全面実施となる(高校課程)からです。この新学習指導要領が「情報」において目的とするのは、情報活用能力を身につけられるようにすることです。
中学校課程では、「生活や社会の中から情報の技術に関わる問題を見いだして課題を設定し解決する力、よりよい生活や持続可能な社会の構築に向けて、適切かつ誠実に情報の技術を工夫し創造しようとする実践的な態度を育成することをねらい」とする旨が、2017年告示の学習指導要領で示されています。
かつては「情報」=プログラミング、またはパソコンスキルとシンプルに捉える向きも少なくありませんでした。しかし「情報」は、より幅広く本質的に学ぶことによって、現代の情報化社会にしっかり対応できる力を身につけていく大切な教科として位置付けることができでしょう。
拡充が急がれる専任教員
社会に出て、どんな職に就いたとしても情報と深く関わらざるを得ないのが今の社会。「情報」の重要性は増す一方です。にもかかわらず、課題として指摘せざるを得ないのは、専任教員の不足です。
情報科教員の状況は、情報科が新設以来、20年近くの年月を経ているにもかかわらず、あまり改善されていません。全国の情報科教員のうち、情報科専任はわずか 20%程度とされています。
各校で大きく異なる授業内容
志望校選びという観点で「情報」を見るとどうでしょうか。一つは、上記の教員問題です。専任教員が授業を受け持っているのかどうか。そして、さらに大切なのは、具体的にどんな授業が行われているかです。他の教科以上に学校によってその内容が異なります。ここでは、東京都市大学付属中学校の事例を紹介します。
東京都市大学付属中学校の「情報」事例
同校の「情報」は、探究学習プログラム「クエストエデュケーション」に取り組んだ生徒が、自らの探求の成果を社会に向けて発信する場である「クエストカップ」にチャレンジすることを軸に授業を進めていることが大きな特徴です。詳しい内容は、 『中学受験スタディ』の特集記事をぜひ、ご一読ください。