SDGsに象徴されるように、現代の課題に国境はなく、グローバルな視点で物事を見ることが常に求められます。そんな状況の下「子どもを海外留学させたい」という保護者は少なくないことでしょう。ここでは、その目的と費用を中心に、留学について考えていきたいと思います。
留学と海外研修の違い
留学というと、以前は大学生や高校生になってからというケースが大半でした。しかし昨今、中学生の留学も増えてきています。学校によっては、希望者だけでなく、一定期間、全員で留学や海外研修を行う例も見受けられます。
ところで、この留学と海外研修の違いはどこにあるのでしょうか。明確な定義があるわけではありませんが、留学は「何かを学びに海外へ行き、外国人と共に学ぶこと」で、海外研修は「海外で日本人向けの特別授業を受けること」とされる場合が多いようです。一般的に、前者は比較的期間が長く、後者は比較的短いということも指摘できます。
目的
何を目的に留学するのか。これは、留学を検討する上で最も大切なことでしょう。「英語を習得するためでしょ?」という声が聞こえてきそうですね。「語学留学」という言葉もありますので、それも立派な目的です。しかし、それ以外のことも踏まえて、留学に臨みたいところです。
異文化に触れ、世界の中の日本という視点を持つことや、親元を離れて自立へ歩み始めることなど、中学生という多感な時期にリアルに感じることは、得難い経験となるに違いありません。
学校と宿泊先
留学した際、どんな学校で学ぶのか、そして宿泊先はどういうところなのか。大いに気になるところですね。宿泊先は、現地ホストファミリーの家となるいわゆるホームステイと、寮とに分かれます。
しかし、これは通う学校にも関わってくることでもあります。例えば、寮の施設を持ち、学生や教師が同じキャンパス内で寝食を共にするボーディングスクールであれば、宿泊先は必然的に寮ということになります。一方、現地公立校で学ぶ場合は、ホームステイして通うケースが一般的です。
サポート体制
現地で何かトラブルが起こったら・・・。これも気になるところです。ホームステイの場合、基本的にはホストファミリーに対応してもらうことになります。ボーディングスクールなら、しっかりしたサポート体制が期待できますが、学校ごとに体制は大きく異なりますので、事前に確認しておきたいところです。
また、比較的期間の短い海外研修の場合などは、学校の先生がサポートで同行することもあります。留学を学校自体が行っているのか、業者に委託しているのかにもよりますので、個別の情報を押さえておくようにしましょう。
費用
「そうはいっても、お金がかかりそう」という懸念される保護者もいらっしゃることでしょう。どの国へ留学するのか、期間はどれくらいかによって費用は大きく変わってきます。おおよその目安は、下の表でご確認ください。
留学する国 | 半年の場合 | 1年の場合 |
アメリカ | 120万円〜200万円 | 250万円〜500万円 |
カナダ | 110万円〜150万円 | 180万円〜300万円 |
イギリス | 250万円〜350万円 | 300万円〜500万円 |
オーストラリア | 140万円〜200万円 | 180万円〜400万円 |
ニュージーランド | 100万円〜180万円 | 250万円〜350万円 |
シンガポール | 90万円〜250万円 | 200万円〜500万円 |
マレーシア | 80万円〜170万円 | 160万円〜330万円 |
フィリピン | 65万円〜130万円 | 125万円〜250万円 |
学校によっては、一括ではなく、毎月の積み立てで準備しているところもありますので、個別相談会などで確認することをお勧めします。
まとめ
「目的」のところでも触れましたが、中学生というとても繊細な感性を持っている時期に留学をすることは、その後の人生に少なからず影響するはず。視野を大きく広げ、地球の一員としての自分を認識することで、アイデンティティの形成にもつながることでしょう。留学から帰ってきたお子さんを見て「見違えるように成長していて、驚きました」という保護者の話は、とても多く聞かれます。留学制度を整えている学校が多い中、どのような特徴のある留学をすることができるのか、しっかり確認した上で、志望校選びに繋げていただければと思います。