わたしたちが日々使う言葉、先人がつくってくれた言葉のおかげで私たちは他人と意思疎通を図ることができます。
必要不可欠な言葉は国語で主に学びます。ひらがな・カタカナ・漢字といった文字の読み・書き、日本語の使い方・表現といったことを教科書の読み物を通して学びます。
本連載では国語では習わない言葉使いについて取り上げます。数学と関わる言葉です。
そもそも数学も言葉が必要不可欠な世界です。数学は言語でもあります。同じ言葉でも日常で使う場合と数学世界で使う場合で異なる場合があったります。さらに日常使っている言葉の中には数学的観点を含むものもあります。
そこで数学を「数」「論理」「数学用語」と3種類に分けてそれぞれの言葉使いを考察してみようと思います。
数の言葉使い
論理の言葉使い
数学用語の言葉使い
<連載の予定>
第1回 数の言葉使いその1「可能性は高い」それとも「可能性は大きい」
第2回 数の言葉使いその2 数と数字のちがい説明できますか
第3回 論理の言葉使いその1「かつ」と「または」
第4回 論理の言葉使いその2 すべてと否定
第5回 数学用語の言葉使いその1 無理数とは何が無理!?
第6回 数学用語の言葉使いその2 数は「かず」それとも「すう」
言葉使いは言葉選びと言い換えることができます。
日本語は実に多彩な言語です。日本人といえど日本語を巧みに使いこなすことは容易なことではありません。国語の教科書だけの学びでは到底マスターできません。
何年も日本語を使い続けることで私たちは、難しい日本語を自分のものにしていきます。というより分からないまま日本語を使い続けているというのが実状です。
私は数学の啓蒙を仕事としています。講演会、メディア出演そして本・連載の執筆を通して自分の意見・考え・思いを伝え・語ります。まさに言葉が商売道具です。
小さいころから本・図鑑が大好きでした。そして何より書店と図書館が大好きでした。これまで読んできた本のおかげで今、言葉が使えることを実感しています。それで思うことは「日本語は難しい」ということ。
難しいからこそ価値があります。価値があるからこそ憧れがあります。数学も同じです。難しいからこそ価値があり憧れがあるのが数学です。数学と日本語に付き合ってきた私自身のこれまでの経験を通して考えてきたことをもとに、この連載にたどり着きました。
国語の教科書では知ることができない数学という新しい視点を知ることで、日本語トレーニングの一助となるか、はたまた日本語はやはり難しい、と思うことになるか人それぞれでしょう。ただ言えることは、日本語をあらためて考え・見つめ直すことになると思います。
どうぞ、新連載「数学と言葉」にご期待ください。
執筆者プロフィール
桜井 進(さくらい すすむ)
1968年山形県東根市生まれ。サイエンスナビゲーターⓇ。株式会社sakurAi Science Factory 代表取締役CEO。東京理科大学大学院非常講師。東京工業大学理学部数学科卒。同大学大学院院社会理工学研究科博士課程中退。小学生からお年寄りまで、誰でも楽しめて体験できる数学エンターテイメントは日本全国で反響を呼び、テレビ・新聞・雑誌など多くのメディアに出演。著書に『雪月花の数学』『感動する!数学』『わくわく数の世界の大冒険』『面白くて眠れなくなる数学』など50冊以上。
サイエンスナビゲーターは株式会社sakurAi Science Factoryの登録商標です。
桜井進WebSite