近年、共学校の人気が高まってきています。一方、男子校はどうでしょうか。実は、底堅い人気を保っている現状があります。その理由はどこにあるのでしょうか。高い進学実績を誇る名門校が多いこと、男子の特性に合わせた教育活動が行われていること、異性の目を気にせず、勉強や部活に集中しやすいことなどがあげられます。それぞれ、詳しく見ていきましょう。
勉強、部活などに集中できる
2021年の東大合格者数のランキングを見ると、上位5校はすべて男子校となっています。男子御三家と呼ばれる開成高等学校、麻布高等学校、武蔵高等学校や、兵庫の灘高等学校のようないわゆる名門校が男子校に多いことが大きく影響しているのではないでしょうか。
男子と女子とでは、成長曲線が違います。多くの場合、中学校に進学した時点では、女子の方が一歩先を進んでいて、男子はどうしてもそれを意識してしまう傾向があります。しかし、男子校なら、そもそもその必要がありません。結果、勉強や部活などに周囲の目を気にせず、集中できる。そんな環境があることも高い進学実績の要因の一つだと言えるでしょう。
文武両道を貫く男子校の行事
男子校には、生徒が男子だからこその行事があります。特に有名なのは、開成中学校高等学校の運動会で高校3年生が行う「棒倒し」の競技です。男子生徒たちが上半身裸でぶつかりあい、棒を下ろす荒々しい団体戦は、男子校ならではの競技です。逗子開成中学校高等学校は、文化祭(開成祭)の最終日に御神輿を担ぐワイルドなパフォーマンスを披露。巣鴨中学校では、大菩薩峠越え競歩大会、巣園流水泳教室、寒稽古。鎌倉学園中学校高等学校は仏教系の学校ということもあり、中1から高1まで、本格的禅の修行道場でもある建長寺で年に数回の坐禅教室を実施。報徳学園中学校高等学校は、毎年11月に20kmを縦走する六甲山強歩大会を実施。灘中学校高等学校では、高1まで柔道の授業があり、黒帯を取得する生徒もいるそうです。
友人との絆が深まる
「マニアックで風変りな趣味でも、少し変わった活動をしているクラブでも、オープンにのびのびできるのが男子校の良さ。異性の目があったら、どう見られるか気にしてしまったかもしれません」。これは、本郷高等学校を取材したときにある卒業生が話してくた言葉です。勉強でも部活でも、友人や部員仲間と競い合い、切磋琢磨して成長していく傾向が強い男子は、そのような学校生活の中で、友人との絆を深めていくのです。
男子校ならではの魅力があり、そこにしっかり目を向けている受験生とその保護者。根強い人気の背景には、そんな構図が見えるようです。もちろん、それも各男子校の弛まぬ努力あってのこと。これからも大いに注目していきたいところです。
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