Special Report
目白研心中学校では、中3でカナダ修学旅行またはカナダ語学研修を実施。総合コースと特進コースの修学旅行、SECの語学研修、それぞれの特徴を紹介する。
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早くから海外に目を向けてきた目白研心中学校は、海外プログラムや異文化交流にも歴史があり、中3のカナダ修学旅行は20年以上前から実施してきた。特進コースと総合コースのカナダ修学旅行とSEC(Super English Course)のカナダ語学研修について、中3学年主任の岩橋芳伸先生と学校説明会に登壇してカナダでの体験を語った中3の生徒3人に話を聞いた。
中学での英語教育の集大成
中学での英語教育の集大成となるカナダ修学旅行とカナダ語学研修について、中3学年主任の岩橋芳伸先生に話を聞いた。
同校は、中3から3コース制となっている。中3の1年間はトライアル期間と位置づけ、GMARCHなどへの進学を目指す「総合コース」、早慶上理や国公立大を目指す「特進コース」、海外大学などを目指す「SEC(Super English Course)」に分かれて学ぶ。高校へ進学する際に再度コース選択をする機会があり、そこで高校3年間で学ぶコースが確定する。SECは、英語でディスカッションをしたり、英字新聞を読んで海外のニュースについてレポートするなど、英語のコミュニケーション能力を伸ばすことに重点を置いたカリキュラム。中3の夏には、特進コースと総合コースはカナダ修学旅行に約10日間、SECはカナダ語学研修に約3週間行くプログラムが組まれている。
「どちらも中学3年間で学ぶ英語の集大成であり、英語学習と異文化体験のプログラムとなっている点は共通しています。本校では体験学習を重視しているので、事前学習から双方向のコミュニケーションを念頭に置いて、英語以外の教科でも文化について学んで準備していきます。特進と総合の修学旅行は10日間という短い期間なので、できることは限られますが、できる限り英語に触れて、異文化体験ができるように組まれた目白研心生専用カリキュラムです。一方、SECの語学研修は約3週間という期間の中で、他国から来た生徒と一緒に学ぶ現地のサマースクールに参加するので、よりグローバルな見地に立てるカリキュラムとなっています」(岩橋先生)
異文化を体験するだけでなく、カナダで日本文化を発信するという2つの課題が与えられている。1つ目は滞在中に1回は日本食を作って食べてもらうという課題で、現地で手に入りそうな食材を考えることからレシピの説明なども含めて、家庭科の時間も使って準備。中には失敗したり、口に合わないと言われるケースもあるが、それも大切な体験であると考えている。2つ目は、遊びや習慣などの日本文化を伝えるという課題。この2つを発信する準備もして、生徒たちはカナダへと出発する。
「今回カナダへ行った生徒たちも、様々な経験ができて予想以上に大きく成長しました。ホストファミリーの生活スタイルなどによって感じたことも違うでしょうし、言いたいことが伝わらなくて苦しんだこともあると思いますが、それも将来への糧になります。もっと長く滞在したら、さらにわかってくることもあるでしょう。『また行きたい!』という声が多かったので、チャンスがあって条件がそろったら、ぜひもう1度、カナダに限らず海外へ行ってほしいです。現地での生活と比べて、日本の方がいい面、他国の方がいい面など、いろいろな比較ができると、自分の生活をより有意義にできると思います。カナダでの経験から得たことを活かして、さらに経験を重ねていってほしいです」(岩橋先生)
カナダ修学旅行を経験した生徒にインタビュー
2024年7月にカナダ修学旅行を経験したIさん(特進コース 中3)とYさん (総合コース 中3)に、現地での体験や今後の目標などについて話を聞いた。
月~金 午前:授業 午後:校外学習
土曜日 校外学習
日曜日 ホストファミリーと過ごす
※ホームステイは2人1組で滞在
――現地で受けた授業や校外学習では、どんなことが印象に残っていますか?
Iさん カナダの木に関する授業でメープルについて学びましたが、日本でメープルシロップを食べたことがあったので、興味を持ちやすかったです。オールイングリッシュの授業だったので最初はよくわからなかったのですが、わからないことは先生や友達に質問して理解していきました。校外学習は、クリーヴランドダムに行ったことが印象に残っています。とても大きなダムで、景色も美しかったです。買い物をするときに、最初はセント(小銭)の使い方がわからなかったのですが、慣れてきたらうまく使えるようになりました。
Yさん サーモンについて学んだことです。サーモンがどうやって育って、どこに卵を産むかなど、初めて知ることばかりだったので楽しく学べました。英語での授業はわからない単語も多かったですが、先生がホワイトボードに絵を描いて説明してくれたので理解しやすかったです。校外学習で行ったグランビルアイランドには、いろいろなお店がありました。色とりどりの壁があったりして、日本とは違う街並みを見ることができて、とても楽しかったです。
――ホームステイ先でのコミュニケーションはどうでしたか?
Iさん 最初はホストファミリーとうまくコミュニケーションが取れなくて、行き違いもありました。例えば朝食のとき、「お腹がいっぱいだから食べられない」と言いたかったのですがうまく伝わらなくて、「アレルギーがあるから食べられない」と思われて心配されてしまったんです。少しずつ慣れてきて、最後の方はコミュニケーションも取りやすくなって楽しく過ごせました。僕がお世話になった家庭には、ブラジルからの留学生も滞在していたので、ブラジルの文化と日本の文化を教え合うこともできました。
Yさん 私のホストファミリーはイランからの移民だったので、最初は英語ではない言語を話していて、こちらが英語で話しかけても相手の言うことが理解できませんでした。家族構成はホストファザーとマザー、おじいちゃんとおばあちゃん、子どもが2人いたのですが、全員イランの言葉で話していたんです。コーディネーターに相談して、英語で話してほしいと電話で言ってもらい、自分たちでも英語で話してほしいと言いました。その後からは、英語でコミュニケーションが取れるようになったのでよかったです。初日の食事がイランのお米みたいなものが出てきたり、イランの文化も体験できました。慣れてきたら子どもたちが話しかけてくれるようになり、会話も楽しめました。
――どのような日本の文化を伝えましたか?
Iさん カレーと日本らしいデザートを作ったら、ホストファミリーだけでなくブラジルからの留学生も喜んでくれました。ホストファミリーへのお土産にお箸を持っていき、持ち方を教えました。ブラジルからの留学生にも箸の持ち方や食事のときの挨拶などを教えたら、「日本の挨拶はいいね」と言ってもらえたので嬉しかったです。
Yさん 私たちはお好み焼きを作って、作り方も教えました。家族はみんな喜んでくれて、もう1回作ってほしいと言われたので嬉しかったです。折り紙をお土産にして、子どもたちに教えて楽しみました。ご飯を食べるときに「いたさきます」「ごちそうさま」と言っていたら、「それはどんな意味?」と質問されたことも嬉しかったです。特にホストファザーは日本への関心が高く、「いただきます」と「ごちそうさま」の発音もスマホにメモしてくれました。
――2人1組でのホームステイはどうでしたか?
Yさん 授業でネイティブの先生と話したことはありましたが、現地の人と話すのとは違うのでとても不安でした。初めて10日間もカナダで過ごしましたが、ペアでのホームステイだったので心強かったです。何か説明する必要があるときは、2人でミーティングみたいなことをして、英語でどう言うかを考えてから話しました。
Iさん わからないことがあったときに相談できるので、僕もペアがいてよかったです。食文化もかなり違っていて、朝はコーンフレークだったり、思ったより料理に手間をかけないことがわかりました。帰国してから、家の食事は手間をかけてくれていて、日本の方が美味しいなと感じています。
――普段はどんな学校生活を送っていますか?
Iさん この学校は設備が整っているので、学校生活も快適です。サッカー部で活動していますが、活動日が少ない部活なので勉強と両立して頑張っています。
Yさん 私はチアリーディング部(POLARIS)に入っています。とても楽しいですが、全国大会の常連校なので練習はきついです。中高合わせて100人ぐらい部員がいますが、16人でチームを組んで練習して、年に3回ある大会を目指して頑張っています。6月に出場した関東大会では高校も中学も全チーム、ジャパンカップへの出場権を獲得しました。私は人の上に乗るポジションなので、来週の本番に向けて練習に励んでいます。
――将来についてどのように考えていますか?
Iさん まずは、もっと外国人とコミュニケーションが取れるように英語を頑張ります。今回のホームステイで思うように伝えられなかったリベンジを果たしたいですし、言葉の壁を感じずに国内旅行感覚で海外に行けるようになりたいです。パイロットになりたいという夢がありますが、現実がわかってきて厳しいかなとも思っています。それでもまだなりたい気持ちがあるので、その意味でも英語でのコミュニケーション力を上げたいです。
Yさん 通訳ガイドをしている祖母に4歳から英語を習っていて、英語が好きなので高校でも英語を頑張りたいです。祖母は海外からの観光客に折り紙など日本の文化を教えているのがかっこいいなと思っているので、私も通訳ガイドになりたいです。高校でもチアを続けて、チアもできて英語もペラペラな人を目指します。
カナダ語学研修を経験した生徒にインタビュー
2024年7月にカナダ語学研修を経験したSECのOさん(中3)に、カナダでの体験や今後の目標について聞いた。
SECの生徒たちは修学旅行よりも長期間の滞在になるため、事前にホストファミリーとメールでのやりとりも行っている。デルタ学区教育委員会が主催するサマースクールは、英語学習者のためのプログラムであり、母国語が英語ではない現地の中高生をはじめ、世界各国からの参加者が集う。カナダで暮らす移民の家庭から参加する生徒もおり、今回はウクライナからの難民や、ベトナム、メキシコ、中国、韓国、台湾などから来た生徒たちが参加。2024年度は2人と6人に分かれて2つの学校に通い、屋外でのアクティビティも交えながら様々な角度から英語を学んだ。例えば、憧れの人についてのプレゼン、未来の自分に向けて手紙を書く、スペルが難しい単語を考えるなど、楽しみながら英語を学べるプログラムとなっている。
1~2週目 午前:授業 午後:授業
3週目 午前:授業 午後:校外学習
放課後・土日 ホストファミリーと過ごす
※ホームステイは1家庭に1人で滞在
――どのような授業が印象に残っていますか?
Oさん 授業はとても難しかったです。私は日本の学校に通っている韓国人なのですが、もっとグローバルな環境でレベルの高い勉強をしたので大変でした。国旗や国について学ぶ授業では、文章を読解したりみんなで意見交換しましたが、先生以外の人たちは訛りがあったりして発音がそれぞれ違ったので聞き取るのが難しかったです。特に中国人の訛りは聞き取るのが大変でしたが、みんな明るくて中国語を教えてもらったりして仲良くなれました。勉強は大変でしたが、楽しかったことの方が多かったです。
――校外学習ではどんなことをしましたか?
Oさん カヌー体験がとても楽しかったです。暑くて疲れましたが、2人で協力しながら漕いだので楽しめました。
――ホームステイはどうでしたか?
Oさん 土日には、ホストファミリーとキャンプに行ったりしてとても楽しかったです。日本人が一緒だとどうしても日本語を話してしまうので、1人の方が英語をもっと話そうという気持ちが持てる環境だと思います。
――日本の文化として何を伝えましたか?
Oさん ホストファミリーの子どもにけん玉を教えてあげようと思ってお土産として持っていったのですが、2歳だったので難しすぎました(笑)。ホストファザーは日本語が少しできたので、移動中の車内などで日本語を教えてあげました。発音にも興味があったようで、ホストマザーは「怖い」と「かわいい」の違いが難しくて、カナダの人にはややこしいと言っていたのが印象に残っています。
――普段はどんな学校生活を送っていますか?
Oさん バドミントン部で活動していますが、今は同学年の女子がいなくて寂しいので、高入生が入ってくれることに期待しています。体育館は、他の部活と半分に分けても十分に練習できる広さです。この学校の学習支援センターは、自習できるだけでなくチューターの先生に教えてもらうこともできるので、私も利用しています。
――将来についてどのように考えていますか?
Oさん 私は大都市が好きで、カナダではバンクーバーへ行ったので、次はアメリカの大都市ニューヨークへ行ってみたいです。高校生のうちに行けたらいいなと思っています。職業についてはまだ考えていませんが、ロールモデルとして目標とされるような人になりたいです。教員など、人に教える仕事もいいなと思っています。理系も英語も好きなので、自分に何ができるか楽しみです。
取材を終えて
インタビューした生徒たちは、言葉の壁や文化の違いで、苦労したことも多かったようだ。それでも、「楽しかった」「また行きたい」「英語をもっと頑張りたい」と語っていたことが印象的だった。現地で過ごす中でも成長し、この経験が今後の成長にも大きな力となるだろう。
所在地
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