Special Report
目白研心中学校・高等学校では、学校説明会など入試広報のお手伝いをする生徒をStudent Ambassador(SA)と呼び、学校の魅力発信に取り組んでいる。SAの活動内容について広報部の長谷亮太郎先生、青野文先生にご紹介いただくとともに、SAとして活躍する高校生(3名)、中学生(4名)にそれぞれ活動の実際について話を伺った。
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約100名もの登録者数を誇るSA(Student Ambassador)
2024年11月現在、SA(Student Ambassador)の登録者数は中高あわせて約100名にのぼり、週末に行われる学校説明会やオープンキャンパスなどさまざまな場面で活動が行われている。来校者の受付をはじめ、校内見学の道案内や学校生活についての発表など、学校の魅力を伝える重要な役割を担っている。注目すべきは生徒たちが自主的に参加、活動しているという点だ。
「SAは部活動でも委員会活動でもなく、自主的なボランティアグループです」と語るのは広報部でSAの活動を推進する青野先生。「目白研心の魅力は生徒だと思っています。中でも学校のことが好きで、何か役に立ちたいと思っているSAはその代表です」と話す。
SA(Student Ambassador)という呼び方そのものは以前からあったそうだが、教員のお手伝いという枠を越え、SAが積極的に活動できるよう働きかけたのは今から3〜4年前のことだと言う。
SAの存在に注目した長谷先生によると、「来校者の方からの質問では私たち教員の話よりも、どちらかというとどんな生徒がいるのか、実際にどんな学校生活を送っているのかといったことが多いんです。そこで、せっかくお手伝いに来てくれる生徒がいるんだったら、直接話す機会をつくった方が来校者にとってもまた生徒たちにとっても良いことなのかなと思い、SAの活動の幅を広げることにしました」と経緯について教えていただいた。
来校者に実施したアンケートでは、「SAの生徒たちが率直に話をしてくれて良かった」とか「入学後の生活のイメージができました」といったコメントもあったそうで、生徒が語るからこそよりリアルな印象として学校の魅力が伝わっているのだろう。
信頼関係の上に成り立つ独自の運営スタイル
SAには活動に参加した回数によって、白い缶バッジ(3回)、黄色い縁の缶バッジ(6回)、10回以上になると目を惹く黄色の缶バッジが手渡されるそうで、取材に同席していただいた生徒さんたちの名札には多くのバッジが輝いている。
「バッジの数が多いとそのSAにはいろんな仕事を任せても大丈夫というのが一目見て分かります。バッジの数と信頼度がリンクするようなかたちで、人前で喋ったり、重要な仕事を任せたりするときに役立っています」と長谷先生。
またSAの特徴のひとつに部長や委員長のようなリーダーがいないという点も挙げられる。さらにSAとして活動するにあたって決まりごとやこうしなさいといった指示はあえて行わずに、すべて生徒たちに一任していると言う点にも注目したい。
「私たちが伝えているのは、SAは学校の代表でねという話と、身だしなみ、あとは挨拶をしっかりしようねということくらいで、あとは生徒たちを信頼して、行ってらっしゃいと送り出しているだけです」と青野先生。
来校者の質問にどう答えるか、学校としての模範解答をあらかじめ用意して事前に生徒とすり合わせるのが通例のように思えるが、同校ではあくまで自主的なボランティアというふわっとした組織の良さを失わないよう自由度をいちばんの売りにしていると言う。その結果、SAの活動に参加した生徒からは「楽しかったからまたやってみたい!」という声も多く、リピーターにつながっているそうだ。
最近ではSAが学校説明会の前説を担当したり、将来的には司会も含めてSAが活躍できる機会の幅をさらに広げて行こうと取り組みを進めている。
SAとして積極的に活動する生徒さんにインタビュー
続いて実際にSAとして活動する高校生(3名)、中学生(4名)に実際の活動について伺った。
L.Sさん(特進文系コース 高2)
J.Kさん(特進理系コース 高2)
A.Iさん(特進コース 中3)
S.Iさん(特進コース 中3)
S.Kさん(総合コース 中3)
Y.Tさん(総合コース 中3)
Q. まずSAになろうと思ったきっかけについて教えてください。
H.Sさん(SEC 高2):
小学生の頃、学校説明会に参加したときにSAの方が校内見学の案内をしてくれて、質問したことに対してしっかりした答えが返ってきたのを覚えています。それがきっかけで自分もSAをやってみたいと思い、高1から活動を始めました。
J.Kさん(特進理系コース 高2):
僕は、将来ホテルマンのようなサービスの仕事をしたいと考えています。SAも誰かの役に立てる仕事で、将来にも役立つと思いやってみることにしました。
L.Sさん(特進文系コース 高2):
私は人前で話すことやプレゼンテーションをすることが好きで、誰かに何かを伝えるということに興味があります。中学生のときに学校説明会に参加して、生徒がアグレッシブに発言しているのが印象的で、カッコ良かったんです。それで、私も入学したらやってみたいなって。お母さんとそう話していたことを覚えています。生徒インタビューも他の学校と比べて和気あいあいとした良い雰囲気で、何より事前に作られた感がないのが良かったです。
S.Kさん(総合コース 中3):
SAは入学してはじめて知りました。先生から話を聞いたときに、めっちゃおもしろそう、入ってみようかなくらいの軽い気持ちで、特に深い理由はありませんでした。ただ他人に親切にできることってなんか楽しそうですよね。それで実際にやってみたら楽しかった!
Y.Tさん(総合コース 中3):
SAを知ったのは中2の頃なんですけど、同じクラスの子が来校者とか先輩と楽しそうに話しているのを見て面白そうだなと。なんとなく入ってそのまま今に至る感じです。その子とはSAの活動を通して関わることが増えたぶん、仲が深まるのが早かったですね。
A.Iさん(特進コース 中3):
僕は学校説明会に来たときにSAについて知って、その時から興味を持っていました。説明会が終わった後に校内見学があって、質問したことに対してきちんと受け答えをしてくれて、良いところだなと思いました。入学してすぐに応募があったのでやってみようと。積極的に活動しています!
S.Iさん(特進コース 中3):
私はSAのことは前から知ってたんですけど、なかなか活動に参加する機会はなくて。たまたまオープンキャンパスの時にクラスメイトがSAのことで先生に呼ばれているのを見て、それがなんだか気になっちゃって。頼りにされるのってなんか良いなって。それがきっかけでSAに参加するようになりました。
学校説明会で出会ったSAがきっかけで活動を始めた人もいれば、身近なクラスメイトが活動する姿を見て興味を覚えた人、将来の仕事に役立てようと具体的なイメージを抱いている人もいて、活動を始めるきっかけは人それぞれだ。
Q .SAの活動で楽しかったことや嬉しかったこと、また苦労したことなどについて教えてください。
J.Kさん(特進理系コース 高2):
校内見学の道案内をしているときに(受験生と)おたがい卓球をやっていることがわかって、共通の話題で盛り上がったことがありました。その時は学校の魅力が十分に伝えられたかなという実感もあって、やって良かったなって。
L.Sさん(特進文系コース 高2)
私が嬉しかったのは、文化祭のときに「またお会いしましたね」って声をかけてくださった女性の方がいて、その方とは学校説明会でもお話ししたことがあったんですけど、私のことがすごく印象に残っていたって言ってくださって、とても嬉しかったです。その後、お子さんも目白研心に入学されたのを知り、それも嬉しかったです。
A.Iさん(特進コース 中3):
SAの活動をはじめた頃は、質問に対してどう受け答えをすれば良いのかわからなかったけど、何回も積み重ねることでこの質問にはこうやって答えれば良いのかなって分かるようになって、筋道を立てて話せるようになりました。
S.Iさん(特進コース 中3):
質問に対して自分が答えられることには限りがあるので、自分の持っている少ない情報でいかに伝えることができるか。十分に答えられないと分かったときには近くにいる先生や詳しく知っている人にどうつなぐかということを意識しながら活動できるようになりました。
SAの活動を通して人の役に立つことの悦びを感じたり、課題を見つけみずから解決しようと試行錯誤したりするなど、生徒たちにとっても多くの学びがあるようだ。
Q. 来校者の方からはどんなことについて質問されますか? またその質問に対してどう答えましたか?
S.Kさん(総合コース 中3):
部活ってどんな感じですかとか新校舎はどうですかとか。受験でどういう問題が出るのか聞かれたこともあります。そのときは、数学は図形の問題と単純な計算問題を解いておいたら受かる確率が上がるよと答えました。
J.Kさん(特進理系コース 高2):
総合コースと特進コースで何が違うのか、特進コースの生徒の雰囲気についてよく聞かれます。特進は勉強に対する意識が強いのかなって思っていて、それを率直に伝えています。
Y.Tさん(総合コース 中3):
目白研心はセーラー服の学校なんですけど、2023年度からブレザーとスラックスも選べるようになって、制服は何着持っているのかとか、どのくらいの季節になったら白いブレザーを着るのかとか、制服について質問されることがあります。実際に入学してみないとなかなか分からないことだと思います。
ベテランのSAにはそれぞれ自分の得意ジャンルと呼べるようなトークテーマがあり、学校説明会後の質問コーナーでは「私は〇〇について話せます」という紙を掲げて、来校者とのフリートークを実践している。なかには教員も気がつかないような学校の魅力を挙げているSAもいて、学校説明会に参加した際にはぜひ話を聞いてみたいと思わせる。
Q. あらためて学校の魅力について教えてください。
A.Iさん(特進コース 中3):
勉強だけじゃなくて行事や課外活動がたくさんあるところです。あと目白研心は英語に力を入れているので、中3はカナダで10日間の修学旅行があります。SECは語学研修で3週間滞在します。授業で英語を学ぶだけじゃなくて、積極的に使ってみようとするところに学校の魅力を感じます。
S.Iさん(特進コース 中3):
私のいる茶道部は中学生と高校生が一緒に活動しているのですが、中高の壁が無く、学年が違っても入部した時期が同じだから同期だねとか、みんなで一緒に楽しめるのが魅力です。あと文化祭や体育祭も規模が大きくて、みんなで楽しむことができるのは中高一貫校ならではの良いところだなって思っています。
H.Sさん(SEC 高2):
SECコースは中3のときにカナダでホームステイがあります。現地のお家に泊まって生活するんですけど、教会に連れて行ってもらって聖歌を聴いたのが印象に残っています。日本では経験できないような文化の違いも体験できます。また、SECは10人前後の少人数のクラスなので、みんな自然に仲良くなります。
L.Sさん(特進文系コース 高2):
私はガラス張りになった1階の中庭のところが好きです。校内見学のときにはじめて見て「素敵!」って思いました。あとはトイレが綺麗とか、校舎も外観がカッコ良いですよね。入学してからは、先生がとてもフレンドリーで良いなって思っています。
Y.Tさん(総合コース 中3):
私、読書が好きで図書館をよく利用するんですけど、他の学校にはないような動く本棚があるんです。今はちょっと壊れていて先生に手伝ってもらわないと動かないんですけど…。あと本の数が多くて、中高6年間いても飽きることのない読書好きの私にとって夢のような場所です。昔の本とか珍しい図鑑とか普段なかなか出会わないような本もあって、「入荷しました!」みたいなPOPを見るたびに手にしています。入学してなければ関わることの無かったような廃墟の図鑑とか能面の本もあって、新しい世界と出会えるので図書館が好きです。
S.Kさん(総合コース 中3):
目白研心は目白大学と同じ敷地にあるので、大学から貸してもらえる施設も多くて、体育館やグラウンドなど、いろんなスポーツができる環境が整っています。だからスポーツが好きな人にとって魅力的だと思います。
トイレが綺麗という点はL.Sさんの意見を参考に広報部としても対外的にPRするようになった場所で、「校内見学の際にはトレイもぜひ使ってみてください」とアナウンスしているそうだ。好きという気持ちがあるからこそ見えてくる学校の魅力はさまざまで、毎年あらたなSAの参画とともに学校の魅力もまた限りなく増えていくに違いない。
取材を終えて
中高合わせて7名もの生徒さんに集まっていただき取材を行ったが、学年の違いを感じることなく中学生も臆することなく学校の魅力を語っていたのが印象的だった。自分の好きなことについて語り合えるのも貴重な空間で、居心地の良さもまたSAの人気につながっているのかも知れない。
所在地
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広報部:TEL 03-5996-3133
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