中村高等学校スペシャルレポート4/苦手だから克服したい!仕事に活かしたい!「探究コース」で磨きをかけるプレゼン力

 Special Report

2月13日と14日の2日間にわたり、「NQフェスタ2024」が開催された。「NQ(「ナカムラクエスト」の略)フェスタ」は、学年ごとに設定したテーマに1年かけて取り組んだ研究成果を学校全体で共有する行事。初日を取材し、探究コース・高2担任の藤井翔先生(進路指導部)、高1と高2の生徒に話を聞いた。

Index

  1. プレゼンの経験を重ねて成長する「探究コース」
  2. 1年生の生徒4人にインタビュー
  3. 2年生の生徒2人にインタビュー

プレゼンの経験を重ねて成長する「探究コース」

 

中1から高2まで、5学年合同で行う探究・研究活動の報告会として2021年度から実施している「NQフェスタ」。探究コースの高1は、探究学習プログラム「クエストエデュケーション」の「コーポレートアクセス」に取り組んできた成果を発表し、高2は全員が個人探究のポスターセッションを行う。探究コース・高2担任の藤井翔先生に、探究コースでの学びについて話を聞いた。

1年生のグループワーク

 

探究コースを選ぶ受験生は、もともと人前で話すことやプレゼンなどが得意で、それを伸ばしたいというケースが多いというイメージがある。しかし実際は、そのような生徒ばかりではないと藤井先生は語る。

 

中村高等学校
▶︎ 藤井翔 先生

 

「受験する際にはいろいろな選び方があると思いますが、探究コースはプレゼンが多いことはどの生徒も覚悟の上で入学してきます。『プレゼンが好きなので探究コースにしました』という生徒もいれば、『苦手だからこそ克服したいです』『少しでも人前で上手く話せるようになりたいです』という生徒もいるのです。探究コースの生徒たちは、模試の点数や偏差値などの数値としては力を出し切れないことも多いかもしれません。しかし、プレゼンなどで聞き手の人たちに、少しでも楽しんでもらいたいとか、明るくなってほしいという思いだったり、前向きに何かをやろうとする気持ちは、非常に強く持っている生徒が多いと感じます」(藤井先生)

 

探究コースの場合、グループワークの中で自分の得意な部分で力を発揮してチームに貢献していくことができるので、新しいクラスでも打ち解けやすいという。

 

「探究コースはグループワークが多いので、それぞれの個性や得意なことを知るのも他のコースより早いと思います。本当に話すのが苦手だと言う人には、無理に話させるのではなく原稿を書いてもらうなど、役割分担をして協働していきます。ですから、高校から入った生徒たちも、探究コースは内進生と打ち解けるのが早かったです」(藤井先生)

 

同校では、様々な形で表現する機会が多く用意されている。例えば、同校の目の前にある清澄庭園で写真を撮り、その写真に詩や俳句をつけるフォトランゲージにも取り組んでいる。

 

「クエストエデュケーションのプログラム自体が、かちっとした発表ではなくて、少し寸劇やドラマの要素を取り入れて聴衆を巻き込む形で行っています。『動きを入れながら発表するなら、iPadは持っていられないから覚えなければならないね』となるような、発表の質が上がっていく仕掛けも考えています」(藤井先生)

 

2年生の個人探究

 

NQフェスタ2日目は、2年生が取り組んできた個人探究をポスターセッションという形で発表する。ポスターセッションの場合、話し手と聞き手の距離が近く、聞きに来た人の興味や関心、疑問に合わせて発表の内容を調整しなければ聞き手を満足させることができない。10分という持ち時間の中で、聞き手の反応を見ながら発表を行っていくスキルが必要となるのだ。

 

中村高等学校

 

「発表する2年生は、新館や体育館など校内いろいろなところに広がってポスターセッションのブースを作ります。1人4回ずつ発表することになっており、下級生たちは各ブースを回って8人の発表を聞くことになります。どの発表を聞くかは、事前にアンケートを取って割り振りました。まず個人探究のテーマと要約を書いてもらい、名前を伏せてClassiのアンケートで全校生徒に配信します。それを見て、下級生たちは聞きたいと思うテーマを書いて提出。人数調整もあるので、8回全部自分の要望が通るわけではありません。何回かは、自分の関心がないテーマのブースに行くことになります。そのような人もいる中で、2年生はどのように興味を持ってもらうかをその場で考えながら、臨機応変に発表を行うのです。あまり興味を持っていない人が多いと感じたときは、興味を持たせるような工夫が必要になります」(藤井先生)

 

個人探究のテーマは、オープンキャンパスや模擬授業からヒントを得て、進路と絡めて決めた生徒もいる。例えば、体育の教員を目指す生徒は、体育の授業でいかにダイエットできるかというテーマで探究を深めた。SDGsなどと絡める生徒もいるが、「ぶりっこの定義とは?」「結局何のモテテクが1番効くのか?」など、美容関係や「カワイイ」に関連したものなどは、毎年テーマとして選ばれることが多いという。

 

中村高等学校

 

「近年は、大学受験でも総合型選抜や学校推薦型選抜の試験科目に、プレゼンテーションなどのパフォーマンス型を取り入れている大学が増えています。志望理由書や活動経歴書なども非常に文字数が増えてきていて、1600字ぐらいは書くという形になってきました。中村アンバサダー(学校説明会などで案内役を務める生徒)や委員会の委員長とか、部活で部長をやっていたなど、特筆すべきことがある生徒はそれを前面に出していけばよいと思います。しかしそのような活動をしていない生徒の場合は、探究活動でやってきたことや、NQフェスタでの取り組みというのが調査書にも書けますし、志望理由書でも活かせると考えています。探究コースの場合、それを強みにして総合型や学校推薦型では少し強気に出願をしていくなど、自信につなげていってほしいという思いもあります。NQフェスタでの発表で個人探究は一区切りとなりますが、3年次には探究したテーマを大学での卒論のような形で文章化してまとめていきます」(藤井先生)

 

1年生の生徒4人にインタビュー

 

1年生は「クエストエデュケーション」という探究プログラムの中で、企業からのミッションに1年間取り組む。その成果を発表した7グループの中から、株式会社ニフコからのミッションに取り組んだ4人に話を聞いた。

 

株式会社ニフコからのミッション
「隠れた重さ」から世界を解放する ニフコの新サービスを提案せよ!
 提案内容
早起きや満員電車での通勤・通学を苦痛と感じている人が多いことから、通学を「隠れた重さ」と考えて小学生から高校生を対象とした「学生タクシー」を提案。通学で電車を利用する人が減れば、通勤で電車を利用する人の苦痛も減る。しかし、電車より定期代が高くなるので、同じエリアから来る生徒3人まで同乗するプランも用意。さらに、渋滞が多発することが予想されるので、通学距離が長い場合などに対象を制限する。実現すれば学生は座って学校に行けて、睡眠不足も解消。天候に左右されずに、日々感じていた通学に対する重さが軽くなることが期待される。
中村高等学校
▶︎写真左より:Yさん、Mさん、Cさん、Aさん

 

Yさん(高1 高入生)
Mさん(高1 高入生)
Cさん(高1 高入生)
Aさん(高1 高入生)

 

――どのようにして「重さ」から「通学の大変さ」という発想につなげましたか?

 

<Cさん> 重さって何だろうと考えたとき、「だるい」とか「面倒くさい」とつながっていき、そこから通学に目を向けました。

 

<Mさん> みんな通学に1時間ぐらいかかるので、通学に重さを感じていました。

 

――企業からのゲストによる講評で「寸劇も入っていてよかった」とありましたが、どのように考えて入れましたか?

 

<Mさん> ただ説明するだけより、寸劇みたいなのを入れた方がわかりやすくなるかなと思って入れました。

 

<Yさん> 最初は声だけで動きが少なかったです。動画で確認してみたらわかりにくかったので、お互いの顔を見るなどの動きを入れて、傘をさす動作も入れました。本番では緊張してしまい、傘の動きはちょっと焦ってしまってあまりうまくできませんでした。

 

――企業からのゲストによる講評で「デメリットもしっかりと押さえていた」と褒められていましたが、どのように考えましたか?

 

<Cさん> 最初はメリットだけで進めていましたが、考えていくうちにデメリットもいろいろでてきたので、その対策も入れた方がよいかなと思いました。

 

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――発表するにあたって、気をつけたことはありますか?

 

<Yさん> 早口にならないように気をつけました。

 

<Mさん> 持ち時間は6分半と決まっていますが、最初のころは5分ぐらいで終わっていたので、時間を計って練習しました。

 

――発表の準備や分担はどのように行いましたか?

 

<Cさん> 私とMさんがKeynoteでアニメーション作りなどを担当し、YさんとAさんが文章を考えました。

 

<Yさん> 自然な流れで、得意な人がその作業をするようになりました。

 

――探究コースを選んだ理由を教えてください。

 

<Yさん> 商品開発などの仕事をしたいと思っているので、探究コースなら将来に役立つと思って選びました。

 

<Mさん> イベントやライブなどの企画をする仕事に就きたいので、プレゼンをする場面が多くなると思い、プレゼンの力を磨きたいと考えました。

 

<Cさん> 中学生のときは人前で話すのが苦手だったので、探究コースがあると知って、人前で話す力をつけたいと思って選びました。

 

<Aさん> 社会の問題は答えがないものが多いので、探究コースで答えを考える力を身につけたいと思いました。

 

――1年間、どのように成長したと思いますか?

 

<Yさん> グループワークのメンバーは、課題ごとに変わります。中学生の頃はもともと知っている人ばかりだったので会話力は必要ありませんでした。高校は地元ではないので、メンバーが変わるたびにコミュニケーション力が必要になり、自信もついてきました。

 

<Mさん> 中学生のときは人見知りで、人前で発表するのも苦手でした。高校でプレゼンをする機会が増えてきて、あまり苦ではなくなって、今は楽しいと思い始めました。自信もついてきたと感じています。

 

<Cさん> 私も人前で話すのが苦手でしたが、今回はリーダーになったので、初めて中心となって活動して成長したと思います。

 

<Aさん> 以前はプレゼンのときに目線が下になることが多かったですが、寸劇を取り入れたりしてプレゼンの質がよくなりました。まだまだ改善するところはたくさんありますが、少しずつよくなっていると思います。

 

――この学校のいいなと思うところを教えてください。

 

<Yさん> 将来の目標が決まっているなら、数学Aや化学など、直接関係ない科目はやらなくていいと私は思っているので、探究コースはカリキュラムにそれらがなくてよかったです。

 

<Mさん> 昼休みによくコリドール(図書館)へ行きますが、そこから見える景色がとても綺麗で落ち着きます。

 

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<Cさん> 一般的な中学校と比べて少人数クラスなので、距離感が近くてわからないところなどを中学生の頃より質問しやすいです。

 

<Aさん> 新館に*マイツリーという自習室があって、放課後に勉強するのにおすすめです。とても集中できるので、私は毎日利用しています。

 

*「My Growing Tree」(通称:マイツリー)は、夜8時まで学校の自習室で勉強できる放課後学習システム。AI教材のatama+を導入し、苦手科目の復習を効率よく進めることができる。チューターが常駐しており、個別の質問にも対応。

 

――将来について教えてください。

 

<Yさん> 商品開発の仕事がしたいと思ったのは、テレビ番組で回転寿司チェーン店やコンビニの商品を有名寿司職人や有名パティシエがジャッジする企画を見たのがきっかけです。合格したときに開発者がとても喜んでいるのを見て、「私もこんな仕事がしたい!」と思いました。

 

<Mさん> NOAというアーティストが好きで、いつも音楽を通して笑顔をもらっています。音楽は好きですが、人前で歌うのはあまり好きではないので、裏方としてアーティストを支える仕事がしたいです。いろいろな人たちに音楽を届けるために、ライブやイベントを企画してアーティストを広めたいと思っています。

 

<Cさん> まだはっきり決まっていませんが、ファッションが好きなので専門学校でデザインを学びたいと思っています。テレビや雑誌をよく見る家庭で育ったので、芸能人やモデルの衣装などが素敵だなと思うようになりました。

 

<Aさん> 看護師になりたいと思っています。母が助産師をしているので、医療系の仕事に憧れるようになりました。店員さんなどはお客様に対して「ありがとう」と言うことが多いですが、医療系の仕事では患者さんから「ありがとう」と言われることが多いので魅力を感じます。

 

2年生の生徒2人にインタビュー

 

翌日に個人探究の発表を控えた2年生の生徒2人に、テーマなどについて話を聞いた。

 

Sさん(高2・高入生)
Tさん(高2・転入生)
中村高等学校
▶︎写真左から:Sさん、Tさん

 

――個人探究のテーマについて教えてください。

 

<Sさん> 私は、感情のコントロールが必要な理由とコントロールの方法について探究しました。母親とちょっとしたケンカをしたときなど(笑)、普段からもっと自分の感情をコントロールできたら楽だろうなと思ったからです。

 

<Tさん> 私のテーマは、「人間は休まなかったらどうなる」です。私は高1の途中から転校してきたのですが、前の学校ではバレーボール部に入っていました。強豪校だったので練習がとてもきつくて、心身を休める時間がなかったのです。実体験から、みんなにも休むことは大切だと伝えたいと思いました。

 

――どのように探究を進めましたか?

 

<Sさん> 一瞬の感情をコントロールする方法と、起きた事に左右されない気持ちを作る方法をインターネットでいろいろ調べて自分で試しました。一瞬の方は、その場所から離れるとか簡単なことです。頭の中で怒りの対象を小さいおじさんに見立てたり、「おもしろ変換」することでポジティブになれます。

 

<Tさん> 私はまず、練習時間が長くて睡眠時間が取れないから十分に休めていなかった自分の経験を説明します。練習内容も濃くて量も多く、気分転換にゲームなどをする時間も取れなかったのです。自分以外のデータとしては、身近な社会人や中高生100人程度に、学校や職場の休暇・休憩体制に満足しているかアンケートを取りました。「満足している」が60%、「満足していない」が40%だったので、労働環境が改善されてきているのかなと思います。

 

――ポスターセッションではどのような工夫をしますか?

 

<Sさん> もしずっと手元を見ている人がいたら、「皆さんはどうですか?」などと話しかけて、巻き込んでいきたいです。

 

<Tさん> 「休んだことありますか? もちろんありますよね?」という感じで、最初に疑問を投げかけて、身近に感じてもらえるようにします。途中で休み方の1つとしてストレッチなども入れて、飽きさせないように工夫します。

 

――去年、先輩の発表を見て参考にしたところはありますか?

 

<Sさん> いろいろなシューズのタイプについてまとめている先輩がいて、どのシューズが合うか診断テストのようなことをしていました。楽しかったので、聞く人の反応や時間配分によっては、私も診断テストを入れてみたいと思っています。

 

<Tさん> まず、「この人の発表を見てみたい!」と思わせるテーマにしようと思いました。参考にしたのは、「自分らしさって何だろう」というテーマで発表した先輩です。テーマからとても興味がわいて、話し始めたら引き込まれていき、話の流れも納得いくものだったので、私もそう感じてもらえるような発表にしたいと思っています。

 

――将来について教えてください。

 

<Sさん> お金持ちになりたいので(笑)、まずは経営学部へ行って、人脈ができそうな企業に就職して、起業するのがいいかなと思っています。お金持ちになりたい理由は、私立の中高一貫校に通うにもお金が必要ですし、よい環境で過ごせると自分も家族も幸せになれるからです。人脈をつくるために、感情のコントロールが活かせたらいいなと思います。

 

<Tさん> 辛い思いもしてきましたが、今もスポーツは好きなので、体育教師などスポーツを教える人になりたいです。私が辛かったときに寄り添ってくれたのが体育の先生だったので、私も誰かに寄り添える人になりたいと思っています。

 


取材を終えて

高1の発表では、企業からのゲストによる全体的な講評で「発表はどれも他校では出てこない独創的なものばかりだった」と褒められていたのが印象的だった。中学生のときは人前で話すのが苦手だったという生徒も、本番では堂々と発表できており、1年で大きく成長したことが伝わってきた。

 

中村高等学校のホームページ

 

 

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