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西武台新座中学校 スペシャルレポート 4/「西武台式英語」が進化!文法と発話をつなげるオンライン英会話

ブラッシュアップされた「西武台式英語」

中1・中2の基礎期に発音・発声を徹底的にトレーニングし、国内でのイングリッシュキャンプや海外体験へとつなげる「西武台式英語」について、2012年の開校当初から英語教育の充実に中心的な役割を果たしている中3学年主任・英語科の栗原隆恵先生と中3の生徒に話を聞いた。

 

基礎期に発音・発声を徹底的にトレーニング

 

西武台新座
▶︎中3学年主任・英語科の栗原隆恵先生

 

同校では、2012年に中学校を開校して以来、基礎期に発音・発声を徹底的にトレーニングする独自の英語教育「西武台式英語」を展開してきた。中1では、発音・発声に特化した授業「The JINGLES(ザ ジングルズ)」を日本の中学校で初めて採用。英語を発音・発声するために必要な筋肉に着目し、科学的にアプローチしたプログラムだ。基礎期には朝学習でも発音を重視していると、栗原先生は説明する。

「朝の20分間にSタイム(SEIBUDAI TIME)という時間を設けていますが、中1の基礎期には週3日、中2では週2回、発音・発声のトレーニングを行います。口や唇の形、舌の動き、息の出し方などを丁寧に説明し、アルファベット1つ1つの発音を徹底的に練習する時間です。聞き取れなければ発することもできないので、発音や発声と同様に聞き取りも大切にしています」(栗原先生)

英語を話すことが好きだというYさん(中3)も、1・2年生で発音をしっかりとトレーニングしたという。

 

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▶︎Yさん

 

「ジングルズの授業を受けてから、英語を話すのが好きになりました。MやTHの発音などを、中1からしっかりと学んだことが印象に残っています。例えば、Mは口を閉じてから破裂させる感じで、MとNの違いも何度も練習しました」(Yさん)

中2では、オールイングリッシュで過ごす2泊3日の「イングリッシュ・グローバルキャンプ」を実施。昨年度はコロナの影響があり八王子で行ったが、例年は福島県にある語学研修施設「ブリティッシュヒルズ」で行っている。

「中3の修学旅行は、オーストラリアで2週間のホームステイをします。1家庭に2人以上で滞在する学校が多いと思いますが、本校では1家庭に1人です。高校では、高1で体験型英語学習施設『TOKYO GLOBAL GATEWAY』、高2でグアムへの修学旅行というように、英語を発話する機会を各学年で用意。高校では、英会話学校Berlitz(ベルリッツ)からネイティブの英語教師を招いて、年間15回程、英会話に特化した授業を放課後に行っています」(栗原先生)

 

英語をアウトプットする機会をプラス

今年度から中3は夏休みに2日間、校内英語キャンプも実施。英会話スクールにオリジナルプログラムを作成してもらい、オーストラリアでの修学旅行を想定して、税関でのやりとりや、体調が悪くなったときに必要な会話など、9人を上限に1人の外国人講師がついて実践的なコミュニケーションを体験した。

「10期生を迎えた時、10年前から継続している『西武台式英語』のよいものは大切にし、そこにプラスアルファをしてブラッシュアップしたいと考え、様々な準備をしてきました。少しでも英語を話す機会を増やすために、新たな試みとして実施したことの1つが校内英語キャンプです」(栗原先生)

行事として英語を発話する機会を各学年で用意してきたが、常日頃から授業で英語を発話しているかと考えると、まだまだ足りないと感じていたと栗原先生は振り返る。

「4技能の時代となり、英検や大学入試でもスピーキングの力が求められます。そこで本校でも、教科書で学んだ文法をアウトプットする機会を作るために、 オンライン英会話も取り入れました。希望制だと来ない生徒との差がでてしまうので、全員が対象です。中2と中3で1人1台のiPadを使用して、年間15回程度実施します。本校では、語彙力や長文読解力を高めるために検定外の教科書『New Treasure』を使用しており、オンライン英会話は『New Treasure』に 準拠した内容です。2年生から教科書で学んだこととスピーキングが連結でき、そこからオーストラリアへの修学旅行につなげることができます。『New Treasure』準拠のオンライン英会話はまだ導入している学校は少ないようですが、文法と発話をつなげるために先駆けてやってみようと考えました」(栗原先生)

 

2023年度からオンライン英会話を導入

基礎期の学びをコミュニケーションへとつなげるプログラムについて、栗原先生と中3の生徒に話を聞いた。

 

 オンライン英会話で発音の美しさを実感

オンライン英会話をスタートさせる前は、苦手意識のある生徒は抵抗を感じるかもしれないと思っていたが、始まってみればとてもポジティブに取り組んでいると栗原先生は語る。

「抵抗を感じている生徒がいたら、『オーストラリアで困らないように練習しよう』と励まそうと思っていたら、杞憂だったようで楽しそうに取り組んでいます。セブ島からのオンラインですが、講師たちがフォロー上手で洗練されていることも、いい影響を与えているようです」(栗原先生)

 

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「ジングルズ」の授業をきっかけに、英語を話すことが楽しくなったというYさんは、同校が導入する前から、自宅でオンライン英会話に取り組んでいたという。

「家でも習い事としてオンライン英会話をやっていますが、そちらもフィリピンの先生なので、同じような環境で慣れていたのでよかったです。母国語ではない言語でコミュニケーションを取ることは、貴重な経験だと思います。どうすればもっと上手く話せるようになるかなと、考えるのが楽しいです。例えば、発音に関しては、LとRの違いを舌の位置などをいろいろ試して、よりよい発音になるように模索しています」(Yさん)

オンライン英会話を導入してスピーキングの機会を作ってみると、テストの点数だけでは見えない部分が見えてきたという。点数には現れない良さや頑張りに気づくことができれば、英語を嫌いにならないように、英語に自信を持てるようにするためにも、オンライン英会話を活用できると栗原先生は語る。

「例えばYさんは、発音の綺麗さが他の人とは違っていたので聞いてみたら、家でもオンライン英会話をやっていると知りました。ジングルズで学んだことを活かして、どうしたら綺麗に発音できるか試行錯誤していることが見えてきます。LとRの発音などは、中1のジングルズでしっかり練習しました。Sタイムやジングルズでやったことは、オンライン英会話でも自然にできています。オンライン英会話での経験を経て、オーストラリアで物怖じせずに現地の人たちとコミュニケーションが取れたら、中学での学びが全てつながるのです」(栗原先生)

Hさん(中3)は、中国の日本人学校からの編入試験を経て、中3から同校に通っている。2年半ほど過ごした広州では、外国人と英語で話す機会が多く、そこで培った英語力をキープするためにもオンライン英会話が役立っているという。

 

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▶︎Hさん

 

「日本人学校では英会話の授業というのはありませんでしたが、現地で話さなければならない状況だったので、自然に英語を覚えました。出身国によって発音などにもそれぞれ特徴がありますが、聞いているうちに慣れてきます。慣れてくると緊張もしなくなるので、外国人と実際に話すことが一番英語力を向上できると思いました。そういった経験があるので、オンライン英会話でも緊張することなく話せています。帰国後も英語力をキープし、さらに向上させるためにも、オンライン英会話があってよかったです」(Hさん)

 

 オールイングリッシュで過ごす2泊3日

英語でのコミュニケーションを実践する機会として、中2で実施している「イングリッシュ・グローバルキャンプ」。昨年度は八王子で行われたが、プログラムの基本は例年とほぼ同様で、外国人講師が各グループに1人ずつ付いてグループで活動した。

 

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「講師の国籍は、ブラジルやスリランカ、中国など様々です。各講師の出身国へ旅行に行くことを想定して、旅行プランを考えて英語でプレゼンをするというグループワークも行いました」(栗原先生)

ミニゲームでは、様々なミッションを与えられ、それをクリアするためにグループで活動したとYさんは振り返る。

「例えば、赤い物の英単語をたくさん挙げたり、ある単語をその単語を使わずに英語で説明して他のメンバーが単語を当てるゲームなどもありました。屋外での活動もあり、英語で『橋の上でジャンプする』などの課題を与えられて、その課題の通りに写真を撮影して、どれが一番課題に近い写真かを競うゲームなどが楽しかったです」(Yさん)

 

オーストラリアの生徒との異文化交流

提携校からの留学生への「おもてなし」体験や将来へのビジョンについて、栗原先生と中3の生徒に話を聞いた。

 

 オーストラリアからの留学生への「おもてなし」

同校は、生徒たちが海外を訪れるだけでなく、海外提携校の生徒たちを招いたホームステイも実施している。今年4月にオーストラリアから留学生を迎え、中2と中3の生徒がそれぞれ、日本の文化や遊びなどを伝える交流イベントを行った。

「提携校ともう1校から留学生を迎えて、2日間おもてなしをしました。修学旅行でお世話になるので、日本に来たときはこちらがおもてなしをします。生徒たちはもっと尻込みするかと思っていたのですが、思った以上にみんな積極的でした。折り紙をはじめ、書道や茶道、足湯体験、アニメのコスプレをしてチェキで撮影会など、留学生も楽しんでくれたようです」(栗原先生)

 

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Yさんは折り紙を紹介するグループで、留学生と交流した。

「折り紙の説明をしたり、飛行機の折り方を教えてミニゲームをしたときは、日本のお菓子を景品にしました。事前に撮影しておいた動画で折り方を見せてから、実際に折って見本も見せたので、なんとか伝わったと思います。景品として用意したのは、麩菓子やフエラムネ(音が鳴るラムネ)などの駄菓子です。『こんなお菓子があるんだ!』と驚いたり、『どうやって食べるの?』と質問したり、みんな楽しんでくれました。今回はおもてなしをしましたが、来年3月の修学旅行では土日が4回あるので、みんなで集まったり、もっとプライベートな話ができたらいいなと思っています」(Yさん)

Hさんは転校したばかりだったので、動画撮影などの準備はできていなかったが、外国人とのコミュニケーションは慣れていたので、楽しく交流できたという。

「僕は折り鶴をメインに教えました。折り紙用語などのわからない単語は『まねをして!』という感じで、ジェスチャーも交えてコミュニケーションしました。折り紙は日本独特の文化なので、難しそうな顔をしている人もいましたが、完成したらとても喜んでくれたので嬉しかったです。修学旅行でオーストラリアへ行くときには、現地のいろいろなところに現地の人と一緒に行ってみたいです。実際に行って、自分の目で見ないとわからないことがたくさんあります。プライベートな時間も一緒に過ごしながら、いろんな文化に触れてみたいです」(Hさん)

 

 グローバル社会で活躍する「たくましい人間力」を育む

同校は、「Act on the GLOBE」をコンセプトに、グローバル社会で活躍する「たくましい人間力」の育成を目指している。近年は、「グローバル」の捉え方が変わってきたと、栗原先生は語る。

「これまでは日本から海外を見ることが中心でしたが、今はそうではなくなってきています。海外から日本に来る方も増えており、国内もグローバル社会になってきました。そういった人たちと友好関係を築き、コミュニケーション力を持ってよりよい社会に向けて、生活の基盤を作っていかなければなりません。高校を卒業して、大学へ進み、職業に就いて、他者と共存しながら自分が理想とする夢に向かって進んでいってほしいです」(栗原先生)

Hさんは、高校を卒業するまでに英検2級から準1級取得を目指すという。

「僕の夢は自衛官になることで、国際関係の学科への進学を目指しています。軍艦が好きなので、海外経験と英語も活かせる海上自衛官になりたいです。中国にいたからこそ、いろいろな世界を見ることができ、いろいろなことに興味を持つようになりました。この学校で行っている英語プログラムを活かして、目標の英検級を取り、もっと的確に日常のコミュニケーションができるようになりたいです」(Hさん)

Yさんは、具体的な職業はまだ決めていないが、人と関わる仕事に就きたいという思いがある。

「ウエディング関係や広報、警察官など、人とのつながりが感じられる仕事に就きたいです。大学のことも調べていますが、英検2級や準1級があると可能性が広がるので、高校生のうちに2級や準1級取得を目指します。英会話ももっと頑張りたいです」(Yさん)

栗原先生は学年主任として中3全員と進路面談を行っているが、大学名からではなく、まず夢を聞いたり、どんな人間になりたいかを聞くようにしているという。

「彼らが社会に出たときに生きやすいように、その素地を作ってあげることが私たちの役目です。オンライン英会話やイングリッシュ・グローバルキャンプ、校内英語キャンプ、オーストラリアの学校との交流なども、そこにつながるものだと考えています。それらをしっかりと西武台新座の英語教育として落とし込んで、ブラッシュアップしながらよりよいものにしていきたいです」(栗原先生)

 


取材を終えて

フリートークのオンライン英会話を導入している学校は増えてきているが、同校は教科書(New Treasure)に準拠した内容で行っている点に注目したい。文法や発音の美しさなど、学びのすべてがつながり、オーストラリアへの修学旅行でそれらが活かされるプログラムへと進化した。
開校当初から大切にしている基礎期における発音・発声の指導「The JINGLES」や豊富な語彙習得、読解力の育成を目指したNew Treasureの活用を基盤とし、現代ならではの新しい価値観を加え更に進化した「西武台式英語」。不易流行の原理に沿った英語教育に今後も注目したい。体験授業が受けられる機会には、ぜひ体験してみてはいかがだろうか。

 

西武台新座中学校のホームページ

 

 

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