Special Report
基礎期に発音・発声を徹底的にトレーニングし、独自の英語教育「西武台式英語」を展開している西武台新座中学校。その集大成となる「オーストラリア人間力研修」について取材した。
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1家庭に1人でのホームステイで磨かれる力
独自の英語教育「西武台式英語」の集大成となる「オーストラリア人間力研修」について、英語科の竹下直輝先生に話を聞いた。
同校では、2012年の中学校開校当初から独自の英語教育「西武台式英語」を展開し、中1・中2の基礎期に発音・発声を徹底的にトレーニングしている。中1では、発音・発声に特化した授業「The JINGLES(ザ ジングルズ)」を日本の中学校で初めて採用。オールイングリッシュで過ごす2泊3日の「イングリッシュ・グローバルキャンプ」を中2で経験し、中3の3月に実施しているのが「オーストラリア人間力研修」(修学旅行)だ。
「ほとんどの生徒にとって初めての海外体験であり、親元を2週間も離れるのも初めてでしょう。オーストラリアでは1家庭に1人で2週間のホームステイをしながら、現地の学校に通います。ステイ先では日本語に頼ることも、友達に頼ることもできません。学校内では現地の生徒がバディとして付いて、バディと一緒に授業を受けます。この研修旅行は、西武台式英語の集大成です。英語を使って実際に生活し、これまで培ってきた英語力をアウトプットする最高の機会となります。そして、慣れない環境の中で、ステイ先のファミリーとコミュニケーションを取って生き抜いていかなければならないので、人間力研修でもあるのです」(竹下先生)
同校は、「Act on the GLOBE」をコンセプトに、グローバル社会で活躍する「たくましい人間力」の育成を目指している。今年3月に「オーストラリア人間力研修」を経験した生徒たちは高校1年生となり、全体の雰囲気からも変化が感じられると竹下先生は語る。
「一言でいうと、たくましくなったと感じます。高校生になって科目数も増えて、少しずつ大学受験も意識し始めています。1人でなんとかしなければならない状況で2週間過ごした生徒たちは、自分なりになんとかしようと自発的に行動するようになりました。自分から目標を立てたり、高校生活を充実させようとしている雰囲気が感じられるのです。英語力だけでなく、人間力も鍛えられたからこそ、人として大きくなったと感じられるのだと思います」(竹下先生)
オーストラリアで過ごしたそれぞれの2週間
中3の3月に「オーストラリア人間力研修」を経験した、高1の生徒2人に話を聞いた。
Kさん(高1)
――オーストラリアで2週間過ごし、どのようなことを感じましたか?
Hさん 文化の根本的な違いが価値観の違いになっていることを実感し、そういった違いを知ることが国際社会で生きていく上で大切だと思いました。ステイ先のホストファミリーはフィリピン人だったので、オーストラリアとフィリピンの文化をミックスしたような感じです。オーストラリアの人はよく「Hurry up!」と言っていて、せっかちな人が多いと感じました。
Kさん 日本でも英語はしっかり学んでいますが、現地では発音の正確さやリスニング力がさらに高められたと思います。自分の発音ではちゃんと伝わらないこともありましたが、ステイ先ではなんとなく察してくれました。そのようなときは、ホストマザーが正しい発音を教えてくれたので、自分の間違いに気づくことができてよかったです。「○○してもいいですか?」など、語順を間違えても伝わりましたが、より自然な言い方をホストマザーが教えてくれました。
――大変だったと感じたことはありますか?
Hさん 会話は、だいたいのニュアンスで5割くらいは通じたと思います。自分の知らない単語が出てきたり、現地の訛りもあったので、聞き取りにくさがあったときは、コミュニケーションを取る上で大変でした。
Kさん 初めて親元を離れて2週間も海外で過ごすことになり、寂しさや心細い気持ちもありました。最初の頃はホストマザーとも話があまり通じ合えなかったのですが、翻訳アプリなども使って教えてくれたので、だんだんと単語レベルでも通じるようになりました。
――帰国後に、成長したなと感じることはありますか?
Hさん 今回は、ステイ先では一度も翻訳アプリを使わずに乗り切ることが目標でした。急を要することがあったので1度だけ使いましたが、それ以外は使わずに乗り切れたことは自信につながったと思います。折り紙を教えるときなど、言葉で通じないときはジェスチャーを使ったり、言語以外の伝え方を経験したことで成長できたと感じています。
Kさん オーストラリアへ行く前は、英語があまり好きではありませんでした。現地では、日本語を全く使えない状況でホストファミリーと話すうちに、英語の楽しさがわかってきて楽しく話せるようになったので、成長したなと感じます。
――ホストファミリーとどこかへ出かけましたか?
Hさん ショッピングモールへ行ったり、日曜礼拝でフィリピン人のコミュニティーに行ったりしました。そこで話をしたり、折り紙を教えたり、フィリピンの料理やオーストラリアの料理を食べて、いろいろな国の文化を経験することができました。もう少し時間があれば、もっといろいろなところへ行ってみたかったです。
Kさん 遊園地に連れて行ってもらったり、ショッピングモールで家族へのお土産を買う時間を作ってくれました。買い物をするときには、店員さんと英語でやりとりをする経験もできました。
――学校内を案内してくれたバディとはどのように過ごしましたか?
Hさん バディは僕のことをとても気遣ってくれて、良い関係が築けました。歴史や国語 の授業は専門用語が多くて難しかったのですが、彼が丁寧に教えてくれました。一緒に昼食を食べながらおしゃべりをしたり、彼の友達とも仲良くなれたので、友達の輪が広がったこともよかったです。
Kさん バディは、とても明るくて優しかったです。初めての海外で、最初の頃は少しホームシックになってしまったのですが、バディが明るかったので私も明るく過ごせました。今もたまに、メールのやりとりをしています。
「オーストラリア人間力研修」後に見えてきた夢
中3で研修旅行を経験して成長した2人に、今後の目標などを聞いた。
――英語に関して、今後の目標はありますか?
Hさん 1つは、高校を卒業するまでに、英検2級から準1級を取得するという目標があります。もう1つは、コミュニケーションに関する目標です。僕はなぜか外国人に道を尋ねられたり、切符の買い方を聞かれることが多いのですが、今までは簡単な英語でしか答えられませんでした。そのような場面で、もっと具体的で正確に、相手の求めていることに答えて、コミュニケーションを深められるようになりたいです。
Kさん 私は英語が苦手なので、英検はまだ取得していませんが、卒業するまでに準2級か2級を取りたいです。
――将来については、どのように考えていますか?
Hさん 軍艦が好きということもあり、これまでは中国で生活した経験と英語も活かせる海上自衛官になりたいと思っていました。その思いは今もありますが、今回オーストラリア研修旅行を経験して、社会科の教員になりたいと思うようにもなりました。中国以外にシンガポールに行ったことがあったのですが、今回オーストラリアに行ってみて、まだまだ知らない世界があると気づかされたのです。もともと歴史や国際社会について学ぶことが好きだったこともあり、今回の研修で大きく心が動かされました。これからもっといろいろな文化を知るための経験を積んでいきたいですし、学んだことを教える仕事に就けるように成長していきたいです。
Kさん 私は数学科の教員になりたいと思っています。もともと数学が大好きなのですが、オーストラリアでバディと一緒に数学の授業を受けたとき、英語がわからなくても数学の授業はわかったのです。数字はどこの国でもわかりあえると実感し、あらためて数字ってすごいなと思いました。
――中学時代の先生について、印象に残っていることはありますか?
Hさん 僕は中国で2年半生活して、中3のときに編入してきました。帰国して学校に通い始めても、日本ではどうやって友達を作ったらよいか忘れてしまっていた状態だったんです。どうやって話しかけたらいいか、どうやって輪の中に入ったらいいかわからなかったのですが、担任の先生が定期的に面談をしてくれて、いろいろと相談に乗ってくれました。勉強面でも、中国の日本人学校はこちらより3単元ぐらい遅れていたので、抜け落ちていた部分を先生方が個別に教えてくれました。先生方のサポートがあったので、今の自分があると思っています。教員になりたいと思うようになったのも、そのような先生方を見てきたからです。
Kさん 担任の先生はとても優しくて、親身になって私たちのことを考えてくれました。校則違反などをしたときはしっかりと叱りますが、体育祭や文化祭などの行事では生徒よりはしゃいでいるような先生です(笑)。そんな先生と過ごすうちに、私も教員になりたいと思うようになりました。
――この学校のいいなと思うところを教えてください。
Hさん 学校の雰囲気が、にぎやかで明るいと思います。高校生になると放課後に、英会話学校からネイティブの先生が来て行う授業に参加できるので、英語力もさらに鍛えられて、明るくて過ごしやすいのが魅力です。
Kさん 1クラスの人数が20人ぐらいの少人数なので、みんなと協力することが多く、 誰とでも仲良くなれます。英語は、ネイティブの先生が教えるオールイングリッシュの授業が週1回あるので、オーストラリアへ行く前に英語だけの環境を体験できていたのでよかったです。
取材を終えて
竹下先生が研修旅行について、日本語の通じない慣れない環境の中で「生き抜いていかなければならない」と語ったことが印象的だった。「西武台式英語」の集大成であるこの研修旅行は、ただ英語力を高めるだけでなく、グローバル社会で活躍できる「たくましい人間力」を育むための体験となっていることが、インタビューをした2人の生徒からも伝わってきた。
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