中村高等学校スペシャルレポート5/「清澄祭」も生徒も進化し続けたい! 10月の開催に向けた実行委員の思い

 Special Report

中村高等学校で10月に開催される清澄祭(文化祭)は、清澄祭実行委員やクラスリーダーが中心となり、生徒主体で実施される。生徒たちと打ち合わせを重ねている針生一磨先生(清澄祭実行委員長)、実行委員長のNさん(5年生)と副委員長のOさん(5年生)に話を聞いた。

Index

  1. 生徒主体で実施される「清澄祭」
  2. 演説会で伝えた思いの実現に向けて
  3. 2025年のテーマは「進化~continue to grow~」

生徒主体で実施される「清澄祭」

中村高等学校では、中高合同で10月に清澄祭(文化祭)を開催。中高合わせて約50人の清澄祭実行委員が中心となり、生徒主体でクラス企画や校内装飾、部活動の発表などの準備が進められている。1年生(中1)はクラス展示、2年生(中2)以上はクラスで出し物を考え、そのほかに食品販売や部活動の発表などを実施。来校者の投票により、中学部門、高校部門、演技部門、ポスター部門の各部門で清澄賞が決まるので、準備にも力が入る。今年度、委員長として実行委員をまとめているNさんは、これまで以上によい清澄祭にしたいという強い思いを持って実行委員長になったという。

▶︎Nさん

「3年生(中3)と4年生(高1)のときは、クラスリーダーとしてクラスの出し物を成功させるために頑張りました。去年は遊園地にあるコーヒーカップを再現したアトラクションを教室に作ったのですが、予想外のことが起きてしまったんです。思っていた以上に車輪への負荷が大きくて、床を傷つけてしまいました。みんなで清澄賞を目指して頑張っていたのに、悲しい結果となってしまったことが今も心残りです。ですから今年は、みんなが悲しい思いをすることなく楽しめるように、ルールなどもよりわかりやすく知らせて、これまで以上に盛り上がる清澄祭にしたいと思って実行委員長にも立候補しました」(Nさん)

高校から同校に入学したOさんは、中学生のときに清澄祭を訪れ、生徒たちが自主的に動いている様子が印象に残ったと振り返る。

▶︎Oさん

「校内装飾なども生徒たちが制作していて、クラスリーダーでなくても、クラスを盛り上げるために校内をまわって声をかけたりしている生徒もいて、自主的でいいなと思ったことを覚えています。入学してからは、去年が初めての清澄祭でしたが、もっと盛り上げられるのではないかと思う部分があったんです。それを実現させるためには実行委員になって意見を言わないと難しいかなと思って、まず委員になりました。副委員長に立候補したのは、担任の先生からやってみたらと声をかけていただいたのがきっかけです。自分でもじっくり考えて、盛り上げていきたいという思いや新しいことに挑戦してみたいという気持ちもあったので立候補しました」(Oさん)

クラスの出し物については各クラスで企画書を提出して、実現可能なのか、中学と高校で企画がかぶっていないかなどを担当の教員と実行委員がチェックする。もしかぶっている企画があれば、クラスリーダーがプレゼンを行うという。

▶︎針生一磨先生

「展示・販売担当の教員と展示・販売担当の実行委員でクラスから出された企画書を見て、内容がかぶっているクラスがあれば来てもらって相談します。かぶっていてもやりたいということであれば、それぞれのクラスリーダーにスライドを使ったプレゼンをしてもらって企画を比較。プレゼンから伝わった熱意や完成度などを踏まえて、展示・販売担当の教員が持ち帰って話し合い、どちらかを選ぶことになります」(針生先生)

演説会で伝えた思いの実現に向けて

全校生徒の前で思いを伝えた演説会

同校では、毎年12月に「体育祭・清澄祭実行委員長役員改選」を実施。それぞれの立候補者は、全校生徒の前で演説を行う。今年度の清澄祭実行委員長は、2名による決戦投票となった。昨年のような悲しい思いをする人がいないように、そしてこれまで以上に盛り上がる清澄祭を実現させたいという強い思いがあって立候補したNさんは、演説会で3つのことを話したという。

▶︎清澄祭2024

「1つ目は、運動部による食品販売の再開です。コロナの影響で食品販売が中止となって、去年4年ぶりに復活したのですが、カフェと家庭科部のみの販売でした。他校の文化祭なども見て、中学生の頃から清澄祭でも運動部の食品販売をやりたいなとずっと思っていたんです。去年一部が復活したので、さらに販売を増やすなら今年がチャンスだと思いました。2つ目は、校内装飾です。1年生(中1)のときは階段アートもあって、すごくいいなと思ったのですが、ここ数年はなくなってしまったのでもったいないと思っています。もっとカラフルに装飾したら、全体の雰囲気もよくなるので今年は力を入れたいです。3つ目として、壁などに貼っていいテープとダメなテープをしっかりと伝えられるように、Classi(連絡ツール)を活用したいと伝えました。ガムテープや養生テープなど、いろいろ種類がありますが、剥がしたときに粘着面が残ったり塗装が剥がれるものがあるので、貼ってはいけないテープがあります。それを全校生徒にしっかりと伝えることで、よりスムーズに準備が進められると考えました。これらの思いに共感してもらえたので、委員長に選んでもらうことができたのかなと思います」(Nさん)

一方、副委員長候補は1名だったが、Oさんも自身の思いを全校生徒の前でしっかりと伝えた。

「私の演説は全体を通して最後だったので、聞いている人も疲れてきていると思って簡潔にまとめました。私は委員長を支えて、実行委員や学校全体をまとめていけるようになりたいと思っています。清澄祭をさらに盛り上げて、これまでの先輩方が残してくれたよかったことや、課題を踏まえてよりよくしたいと伝えました。課題としては、ゴミの分別ができていないところがあったり、人の流れが予想し切れず、教室のフロアが混み合ってしまったことなどです。よかったことは、各クラスしっかりとルールを守れていることや、去年は食品販売が復活できたので、そういったことは継続していきたいと思っています」(Oさん)

大人との関わりの中で感じられる成長

清澄祭に向けて実行委員長として活動してきたNさんは、クラスリーダーとは違う役割を意識するようになったという。

「クラスリーダーのときは、クラスの出し物をよいものにしたいと思って頑張って動いていたので、自分の感情が出てしまうことも多かったです。実行委員長は感情がむき出しだと周りがまとまらないと思うので、自分の感情は抑えて、相手の話を最後まで聞くことを意識するようになりました。全体としての成功を考えられるようになり、メンタルも強くなってきたように感じています」(Nさん)

一方、「伝え方」を意識するようになったというOさん。

「どんな風に伝えたらみんなが理解してくれるか考え、伝え方を工夫するようになりました。言いたいことを一方的に伝えるのではなく、話の途中で相手が理解できているか確認するなど、曖昧なまま進めないように心がけています。そういったことを意識するようになったので、相手がちゃんと理解できてから次のステップに進められるようになりました」(Oさん)

▶︎清澄祭2024

教員や業者といった大人たちの事情もくみ取り、生徒たちの要望にも耳を傾けるなど、間に立って準備を進める2人からは、この数ヶ月での成長が感じられると針生先生は語る。

「2人とも『こんなテーマにしたい』とか、『こんな風にしたい』という明確な考えがあるので、最初から積極的に行動してくれました。さらに最近は、自分たちの思いだけでなく、教員側の意向もくみ取ってくれるようになりつつあると感じています。様々な企画を実現させるためには、生徒たちの希望ややる気を一方的に押しつけるのではなく、大人の事情も理解して、妥協案を考えなければならないこともあります。裏方として教員とこれほど関わる機会も、普段はないことです。各担当の教員や業者との打ち合わせを通して、大人に対する接し方も学んだことでしょう。自分たちのやりたいことを実現するためには、大人に対してどのように伝えればよいか考え、一方で生徒たちに向けて妥協案などをどう伝えるかも考えて、様々なアイデアを出して頑張ってくれています」(針生先生)

2025年のテーマは「進化~continue to grow~」

進化し続ける清澄祭と生徒たち

清澄祭は毎年テーマを決めて開催しており、2025年のテーマは「進化~continue to grow~」に決まった。

「去年はコロナによる行動制限などもなくなり、出来ることが増えました。増えたからこそもっと進化して、成長した清澄祭を開催することができるのではないかという思いを込めました。できたことに満足せずに、さらに成長し続けようというイメージです。10月が本番ですが、4月から動き出しているので、進みが速いと感じています。パンフレットの業者との打ち合わせも進んでいますし、ポスターのデザインも決まりました」(Nさん)

▶︎清澄祭2025ポスターデザイン

清澄祭の前日には、教員と生徒だけでオープニングセレモニーを行っている。軽音楽部やダンス部などの発表が、当日に向けて生徒たちの気持ちを盛り上げていく。

「ペンライトを持ち込んで、部活の発表をみんなで盛り上げます。声出しも自由なので、発表する側と観客側の一体感が楽しいです。今年のテーマに関しては、清澄祭を通して生徒たちも進化して、心も成長できたらいいなと思っています。食品販売で何を売るかについても、少しずつ決まってきました。部活動の発表やクラス企画なども、2次企画書まで終わっているので、夏休み明けから各クラスで本格的に動き出す予定です」(Oさん)

展示や発表だけでなく「生徒」も見所の1つ

Oさんは中学生のとき、清澄祭やオープンキャンパスを訪れ、部活体験にも参加したという。

「姉が中村に通っていたこともあり、オープンキャンパスや部活体験にも参加しました。在校生が挨拶してくれたり、校内で迷っていたら場所を教えてくれたりして、優しい生徒が多いと感じました。小学生の頃はチアリーディングをやっていたのですが、中学校にはダンス系の部活がなかったんです。高校ではまたダンス系に入りたいと思ってダンス部とバトン部を体験しました。バトン部はダンスだけでなくバトンもできるのがいいなと思ってバトン部に入部して、今も続けています。部活体験で初めてバトンを回して、先輩からいろいろ教えてもらい、ここなら楽しく続けられそうだと思いました」(Oさん)

同校の魅力は、個性豊かな生徒がいて、教員とも距離が近いので気軽に話しにいける環境であることと、制服の可愛さだとOさんは語る。

「毎日生活する校舎が綺麗なのもよいですし、制服が可愛いのでテンションが上がります。オプションでリボンも選べますが、私は正装のネクタイが好きです。夏服もポロシャツだけでなく、ワイシャツにベストなど、いろいろな組み合わせが楽しめます。清澄祭では、小学生と中学生向けに制服の試着コーナーもあるので、ぜひ試着してみてください」(Oさん)

▶︎清澄祭2024

今年1番の見所は運動部の高校生による食品販売だが、出し物以外にも見てほしいところがあるという。

「去年より販売される食品の品数が増える予定ですし、校内の装飾にも力を入れているので期待してください。私はオープンキャンパスに来て、校内を歩いていた在校生から挨拶されたときの雰囲気などで、この学校が自分に合っていると感じました。ですから、出し物や部活の発表も見てほしいですが、受付にいる生徒や校内で活動している生徒たちの様子も見てほしいです。行事に前向きに取り組む生徒が多いので、ぜひ気軽に話しかけてみてください」(Nさん)

▶︎カフェテリアにて

取材を終えて

生徒主体だからといって、すべてが生徒の思い通りになるわけではない。予算や安全面など、クリアしなければならないことがたくさんあるだろう。NさんやOさんは、教員や業者と話し合い、生徒側の希望との妥協点を探しながら、よりよい清澄祭を目指して準備を進めている。熱い思いを抱きながらもただ突き進むのではなく、感情を抑えたり、人への伝え方を考えられるようになった2人を中心に、夏休み明けから本格的な準備がスタートする。昨年よりさらに進化した清澄祭や生徒たちの様子を見に、ぜひ足を運んでいただきたい。

 

中村高等学校のホームページ

 

 

所在地

〒135-8404
東京都江東区清澄2-3-15
TEL 03-3642-8041

  • 東京メトロ半蔵門線・都営大江戸線「清澄白河」駅A3出口より約徒歩3分。
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